「老後2千万円」という恐ろしい妖怪を退治する、意外なまでにシンプルな方法

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自分の受給額をしっかり確認

 保険を見直したことで、胸を張ったのも束の間。実は金融庁の報告書で“赤字額”を算出する収支には、保険にかかる費用は含まれていない。すなわち、保険以外の部分で支出を抑えなければ、毎月約5万円の赤字を垂れ流し、年金だけでは生活できないということになる。では、いかにムダをなくし、効率良く生活を“合理化”すればいいのか。

 畠中氏はこう解説する。

「高齢者は節約しようとまず食費を削る。すると、魚や肉の摂取量が減り、炭水化物過多で糖尿病になってしまう心配もあります。節約して病気になっては本末転倒。削りにくいものを削ることを考えましょう」

 まずは車だ。

「これは住む場所によるところもありますが、処分できるのであれば、かなりの費用節約になります」

 とは、前出の丸山氏。

「都心であれば、駐車場代は月に1万や2万、中には5万円という場所だってあります。加えて、ガソリン代、車検、保険も含めれば、少なく見積もって年間50万円の出費を減らすことができるでしょう」

 車を処分しても移動の代替手段はいくらでもある。

「東京都民で70歳以上なら路線バスや都営地下鉄を格安で利用できるシルバーパスを交付してもらうことが可能です。都市部であればこうした制度の利用を考えるのも良いでしょう。またカーシェアリングもお得。安いもので初期費用1550円。そこに月の基本料が1030円、実際に15分利用すると約200円というものです。週に1回1時間の買い物で使っても月に4千円ちょっとで済む計算になります」(同)

 さらに先の荻原氏は電話代の見直しも先決と話す。

「2017年の民間の調査によれば、大手の携帯会社の平均月額料金が約8千円に対して、格安スマホは3千円。性能も大手と遜色ありませんし、夫婦で乗り換えれば年間12万円もの節約になります」

自身の寿命と

 長年親しんだ愛車の処分とスマホの変更が終わると、次に待ち受けるのは、なんと引っ越しだという。畠中氏が続けて、

「子どもたちと住んでいた広い家からランニングコストのかからない家に引っ越すべきだと思います。広い持ち家から、駅や県庁所在地に近く、かつサイズが小さい家へ移るのが良い。地方のプロパンガスより都市ガスの方が安いですし、光熱費の節約になります。交通の便が良ければ、車も手放せる。病院にバスなどで通えるエリアであることも重要です」

 丸山氏が実体験を語る。

「わたしもかつて、100平方メートルから50平方メートルのマンションに引っ越したことがありました。その際、もっとも節約できたのは電気代で、月に2万円だったのが5千円に。これだけで年間18万円です。ただし、購入できるなら、新築されて5年以内の物件が望ましい。設備が新しければ、自身の寿命に鑑みてメンテナンスやリフォームなど部屋の管理にお金がかからないですから」

 年金だけで楽しく暮らす生活設計にはダウンサイジングこそ必要なのだ。

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