「老後2千万円」という恐ろしい妖怪を退治する、意外なまでにシンプルな方法

ビジネス

2019年06月30日

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 あなたが大きな怪我も病気もなく、はたまた投資で穴を開けず、定年まで勤め上げたとしよう。そして長年在籍した会社を辞することになる前に、「今すべき自助」がある。それは長い老後を過ごすための準備運動でもあるのだ。

 まず一つ目にやるべきこととして、専門家が口をそろえるのは、借金返済である。『投資なんか、おやめなさい』(新潮新書)の著者・経済ジャーナリストの荻原博子氏は、

「住宅ローンなどの借金を早めに返しましょう。その方が、投資をするよりもよほど効率的です」

 と、語る。例えば3千万円の住宅ローンを35年、1%という低金利で借りていても、月の支払いは8万5千円にもなる。総務省が公表している2018年の無職高齢夫婦の世帯月収平均は22万円あまり。定年後にローンを残していれば、家計に重くのしかかるのは疑いようもない。

 節約アドバイザーの丸山晴美氏はこう助言する。

「退職金制度はなくなっている会社も多いので、現役時代に払い終えているのが理想的。繰り上げ返済をするのであれば、支払うはずの利息がさらに軽減される“期間短縮型”がオススメです」

 期間短縮型は、繰り上げ返済すればするほど返済期間が短くなる方法のことだ。

「条件によっては、100万円の繰り上げ返済で利息が軽減され、返済総額が150万円減るというケースもあります。しかし、投資で100万円が150万円になるとは限りません」(荻原氏)

 さて、人生最大の借金を返済したら、その次は大きな支出を減らしていくことが肝要だという。

年間38万円

「最初に保険の見直しをすべきだと思います」

 と、『「定年後」の“お金の不安”をなくす』の著者で経済コラムニストの大江英樹氏は指摘する。

「公益財団法人の生命保険文化センターが2018年9月に公表した調査によれば、1世帯あたりの生命保険の払込保険料は全世代平均で年間38万2千円。世帯主を60歳から64歳に限ると、1世帯43万9千円にまでなる。月に3万円以上の計算になります。解約すれば、当然、貯蓄にまわすことができます」

 ちなみに同じ調査で60~64歳の生命保険の世帯加入率は92・1%、65~69歳で89・5%となっている。要は定年前後の世代でほとんどの人が生命保険に加入しているということに。

「子どもが小さいうちならまだしも、成人しているならば、生命保険を掛ける必要性を感じません。また、民間の医療保険についても、我々は公的保険に加入していますし、高額療養費制度を使えば、自己負担を抑えることができます」(同)

 ファイナンシャルプランナーの畠中雅子氏がこう補足する。

「高齢になると医療保険を手厚くしたがりますが、どうしても不安なのであれば、保障については絞った方が良いでしょう。例えば、抗がん剤治療についてサポートしてくれるものや、先進医療だけをピンポイントで保障してくれる保険です」

 これでやるべきことはやった――。ところがどっこい、当然、準備運動の“後”が控えているのである。

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