「#日韓カップル」インスタで急増中「オッパがかっこいいから見せたい」「息子は軍隊に入れたい」

国際 韓国・北朝鮮 2019年06月27日

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恋に落ちた相手がたまたま韓国人だっただけ

 一方、インスタグラムで「#日韓カップル」を使う理由について、「単純に同じ境遇の友達がほしかったから」というのが、麻衣さん(26歳)だ。「リアルな生活では周りに日韓カップルがいないんです。日本人の友達が『彼氏が全然連絡くれなくて』と悩んでいても理解し合えない。私は連絡来すぎて困ってるぐらいなので(笑)」

 高校生の頃、周りでKARAや東方神起が流行っていても、ジャニーズ一筋だった麻衣さん。当時の韓国のイメージは、「キムチ臭そう」「K-POPスターは男性もメイクしていてナヨナヨした感じ」とネガティブだった。

 そんな麻衣さんが、ミニョンくん(22歳)と恋に落ちたのは、2013年10月。マレーシアのクアラルンプールに語学留学した時のことだ。

「指定されたシェアハウスに着いて、ガチャッとドアを開けたら目が合って。ハウスメイトがなんと男性。その人の友人が彼でした」

「What is your name?」

 電子辞書も使いながら、お互い勉強中の英語で会話を交わし始めた。

「直感的に第一印象が良かった。私が緊張してるのがわかっていたのか、どんどん話しかけてくれて、やさしいな、って。話しているうちに韓国人だって知りました」

 出会ってわずか2週間目には、付き合い始めることに。

「韓国人の男の子ってジェントルマンで、段階踏んで付き合うのかと思ったら全然そんなこともなく、がつがつすごい積極的で。日本人の男の子と遊んでいたら『行くな』って言われたりとか、独占欲が強い。『彼女でもないのに、なぜ?』って聞いたら、『僕の彼女でしょ』って(笑)」

 だが愛が生まれた2週間後、ミニョンくんは大学受験の準備のため韓国に帰国。以後、二人は5年半にわたり遠距離恋愛を続けている。その間、麻衣さんはアメリカに留学し、東京で就職。ミニョンくんは現在、マレーシアの大学に在学中だ。

 圧倒的に離れた距離、会えない膨大な時間。その隙間を埋める飛び道具が、SNSだ。二人は、LINEのような韓国のメッセージアプリ「カカオトーク」で毎日連絡を取っている。

「彼はめちゃめちゃマメ。1時間ぐらい連絡しないと、『なんでレスくれないの』って(笑)友達同士のSNSともつながっているんで、写真に映り込んでいたりして嘘つけない。お互いどこにいるか、何をしてるのか把握しているんです。ちょっとギツギツ(笑)。でも、SNSがなかったら、20年前だったら、かなり難しかったんじゃないかな。付き合う時点で、踏み出せなかった気がします。ありがたい時代に生まれたな、と」

 5年という歳月の間には、お互いの中で変化があった。ミニョンくんは言う。

「麻衣と付き合うまで、正直日本に対してよくない印象を持っていました。歴史の問題が原因です」

 ミニョンくんが東京に遊びに来た時には、「Takeshiba(竹芝)」という表示を見て、「え、Takeshima(竹島)⁉」と言い始め、二人の間で領土問題について熱い論争になったことも。

「でも、最近は『日本ではこういうふうに報道されているけど、韓国では違う視点だよね』と客観的に話すようになりました」(麻衣さん)。

 ミニョンくんの一時帰国に合わせて、韓国を訪れることもしばしば。父親が仕事に行くときは必ず玄関に行って挨拶し、母親が重いものを持って帰るとマンションの下まで降りて荷物を持ってあげるミニョンくん。「彼の姿を通じて、韓国の良さを知った」と麻衣さんは語る。

 今では、ミニョンくんがマレーシアにいるときでも、女友達とソウルに旅行に行くほどの韓国好きになった麻衣さん。母親も麻衣さんの影響を受け、CNBLUEと俳優パク・ヒョンシクのファンに。IZ*ONEのファンになった弟は大学で韓国語を専攻しているという。

「遠距離がつらくなって別れの危機も何度かあった」と明かす麻衣さんに、国籍や距離を超えて恋愛が続いている理由をたずねると、こんな答えが返ってきた。

「彼とは、考え方だったり、味覚だったりが同じ。笑いのツボも一緒で、テレビやYouTubeを見るときに、いつも気づいたら同じところで笑ってる。価値観が合うって大事。国も言葉も関係ないんだな、って思います」

 新大久保で出会ったシジンくんと穂奈美さん、福岡在住のYouTuberジンくんとことみさん。2つのカップルは、いずれも今年春、双方の家族や友達に祝福されながら結婚した。
将来の目標はそれぞれだ。

「日韓両方にローテーションで暮らすのが理想だけど、子どもが生まれたら、どこで教育を受けたいか、その子が望むようにしたいと思います」(シジンくん&穂奈美さん)

「まずは日本で仕事を頑張ってみて、将来は韓国か、日本か、まだわかりません。シンガポールも住みやすいかな、と思っています」(ジンくん&ことみさん)

 一方、麻衣さんの彼氏ミニョンくんには、韓国で「カップルの鬼門」とされる兵役が待ち受けている。

「軍隊が終わったら、すぐ結婚しようって言ってくれるので、それを機に一緒に住む予定です。アメリカでも、マレーシアでも韓国でも。彼の仕事で住む場所に合わせようと思っています」

 入隊は、おそらく来年。韓国軍では今年4月から兵役中のスマートフォン利用が解禁となった。「SNSがあるから乗り越えられる」麻衣さんはそう信じている。

桑畑優香(くわはた・ゆか)
ライター・翻訳家。94年「101回目のプロポーズ」の韓国リメイク版を見て、似て非なる隣国に興味を持ち、韓国へ。延世大学語学堂・ソウル大学政治学科で学ぶ。「ニュースステーション」ディレクターを経てフリーに。ドラマ・映画のレビューを中心に「韓国TVドラマガイド」「韓国語学習ジャーナルhana」「現代ビジネス」「AERA」「Yahoo!ニュース個人」などに寄稿。「韓流旋風」に映画コラム「ヨクシ! 韓国シネマ」を連載中。共著に『韓国テレビドラマコレクション』(キネマ旬報社)ほか。

2019年6月27日掲載

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