アマゾンに「有名芸能人」のお面がズラリ… 事務所の許可なし、法的な問題は

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パブリシティ権の侵害か

 こうしたお祭りでの使用目的以外としては、

「政治家のお面はデモのときに使われるほか、ハロウィーンなどのパーティーイベントの需要、あとはInstagramなどのSNS用に購入する人も多いみたいですね。アメリカやカナダでは、カスタムメイドのお面サービスも盛ん。等身大の異性のパネルを作って、リアルなパートナーの代わりにプロムに“連れて行く”なんて使い方もするみたいです」(同・関氏)

 関氏によれば、元祖のMask-Arade社は、後発社との差別化を図るため、セレブ側と正式に契約を結ぶべく活動をしているという。実際にライセンスを取得もしているようで、Mask-Arade社の商品も日本のアマゾンで購入可能だ。ただし、扱いは海外セレブとダース・ベーダ―のお面のみで、日本の芸能人の品はない。

「アメリカではなくイギリスで“お面ビジネス”が盛んな理由は、法律も関係しているかもしれません。セレブの肖像権やプライバシーに関するあれこれは複雑なうえ、アメリカの場合、州ごとに違っていたりもします。調べた限りでは、これまでお面をめぐってトラブルにはなっていないようですけれど」(同・関氏)

 では、日本ではどうなのか。日本の芸能人のお面が売られていることについて、肖像権に詳しい金井重彦弁護士 は、こう解説する。

「一般人ならプライバシー保護の意味合いで肖像権の侵害となるのですが、今回は芸能人ですから侵害というには難しい。雑誌などに掲載された写真を勝手にお面にしたら著作権違反ですが……」

 Celebrity Cutout社は〈トップフォトエージェンシーと自社デザイナーによってオリジナルで作成されています〉と商品説明で謳っているから、“自分たち”で撮った写真と主張できるのかもしれない。

「むしろ今回のケースは、タレントの肖像でビジネスをする“パブリシティ権”の侵害にあたるのではないでしょうか。事務所の商売の権利を侵害している、というわけです。製造が英国企業でも、これに該当するのか? うーん……。難しいところですが、日本のAmazonで販売しているわけですからね。日本で肖像権侵害に該当するものを輸入しているとみなせるでしょう。いわゆる“海賊版”の販売と同じです。そうしたモノの売買の場を提供したAmazonの責任も、まぬがれないのでは」

 お面をかぶってほっかむりを決め込む、とはいかないようだ。

週刊新潮WEB取材班

2019年6月15日掲載

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