「AI将棋の申し子」豊島将之と藤井聡太、どっちが強い?

社会 週刊新潮 2019年5月30日号掲載

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 AI(人工知能)とヒトならどちらが優秀か。その答えは“AIを活用するヒト”だと、豊島将之(とよしままさゆき)新名人(29)は証明したのかもしれない。将棋ソフトを駆使する彼は群雄割拠の棋界を背負って立つ人材ともっぱらの評判だ。そこで素朴なギモンが頭に浮かぶ。藤井聡太七段(16)とどっちが強いの?

 名人戦は5月16、17日に福岡県飯塚市で第4局が行われ、佐藤天彦(あまひこ)名人(31)に豊島新名人が133手で勝利。4連勝でのタイトル獲得で、棋聖、王位に続き3冠となった。

 将棋ライターの松本博文氏が解説する。

「4戦目は中盤から豊島さんが優勢になりそのまま押し切った形でした。昨年度、日本将棋連盟の最優秀棋士賞にも選ばれていますし、むしろ実力に成績が追いついたという気がしますね」

 父で弁護士の茂長さんが語る。

「将之は4歳の頃にNHKで羽生善治さんが出ている番組を見て、“これは何?”と興味を持ち、将棋を始めました。家内が初心者用の定跡本を読み聞かせ、教えて2、3カ月すると、両親ともに勝てないほどになっていたのです」

 すでに才能の片鱗を見せていた豊島名人は5歳で出身地の愛知から大阪に引っ越し、将棋会館に通うようになる。その後、小学3年生で奨励会に入ると、高校2年生でプロ入りを果たす。

 大きな転機は2014年。棋士とコンピューターが対戦する「第3回電王戦」で、5人の出場者のうち、唯一コンピューターに勝ったのだ。

「電王戦出場を機に、AIと認識されるほどに強くなった将棋ソフトを活用して研究するようになりました。実力の近い棋士が集まる研究会にも彼は参加しなくなった。AI将棋を使う若い世代でも、そこまで徹底しているのは少数派です」(松本氏)

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