リクシルお家騒動で潮田会長に「揺さぶり」をかけていた村上世彰

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大変な問題

 経営陣と村上氏との関係について、リクシルは「取締役の交友関係についてはお答えしかねます」と回答するのみ。そこで、村上氏に取材を依頼したところ、本人からコメントが寄せられた。

〈私はレノ(旧村上ファンドの幹部が役員に名を連ねる投資企業)の株式を保有しておりませんし、実質的に運営もしておりません。ただ上場企業のあるべき姿について考え方が共通しているので、私または親族の会社と共同して投資を行っております。個別の投資先に対するコメントは差し控えますが、上場企業は現金をため込まず、事業投資や株主還元を積極的に行うことが大切と考えています〉

 続けて、リクシルとの関係については、〈私及び関連会社で、過去、また現在においても一度も株式の売買をしたことはございませんし、今後も売買の予定はございません〉と前置きした上でこう説明する。

〈潮田氏は、私の古くからの知人であり、出光興産株式会社の創業家をご紹介いただき、出光興産(株)と昭和シェル(株)の統合についても様々なアドバイスを頂きました。一方、今回のLIXILの騒動については、取締役会や指名委員会が機能していないことはコーポレートガバナンス上大変な問題であり、それを潮田氏が主導していたのであれば私のコーポレートガバナンス上の信念において、取締役を辞任すべきではないかというお話もしました〉

 それに加えて、

〈潮田氏が上場企業の取締役としてコーポレートガバナンスに反するようなことがあれば、極めて多額の株主代表訴訟を受ける事例もあるため、その場合には潮田氏が破産する可能性もある旨を言及いたしました〉

 本誌の取材で明らかとなった潮田氏への「直言」を認めた格好だ。さらに、村上氏は、潮田氏とのやり取りのなかで、〈LIXILのシンガポールへの本社移転やLBO等についても潮田氏から相談を受けましたが、(中略)企業価値向上に資さないのではないかとアドバイス〉したとも明かしている。

 出光と昭和シェルの統合劇にひと役買った際も村上氏は出光株を1%近く買い集めていた。リクシルについてだけ、友人として無償で立ち回っていたというのは、どうしても首を傾げざるを得ない部分がある。

週刊新潮 2019年5月23日号掲載

特集「『新明和』で荒稼ぎ! 『ヨロズ』に電撃仮処分! 『リクシル』お家騒動の裏で爪を研ぐ『村上世彰』」より

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