「コンビニコーヒー」最新事情 セブンに習ったファミマ、スタバ意識のフラッペ戦略

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フラッペ戦略

 ファミリーマートは既に、新型マシン約1万1730台を設置済み。今年9月末までに全店導入を完了させ、売上げ伸長110%を計画しているという。実際に売上げが伸びていると胸を張るが、業界紙記者は「単純にコーヒーの売上げが伸びただけでなく、ファミマの場合はメニューの多様化によるところが大きい」と指摘する。

「これは各社に共通することですが、まずは女性客を取り込むためにカフェラテの強化に乗り出しました。さらにファミマは、コーヒーマシンのホットミルクを使ったフラッペにも力を入れていますね」

 ファミマのフラッペといえば、現在、香取慎吾が「フラッペつくりかたダンス」をコミカルに踊るテレビCMが放映中。これは冷凍ケースで売られているフラッペを購入し、店員に蓋を取り外してもらった上で、容器ごと揉み、コーヒーマシンのホットミルクを注いで混ぜて完成というやや複雑な作り方を周知させるためでもある。

「コンビニコーヒーは毎年成長を続けてきましたが、ここ数年は成長が鈍化しています。コーヒーの購入者が男女比で6対4であるのに対して、フラッペは4対6で女性に人気がある。さらに、フラッペは平日よりも財布の紐が緩みやすい休日のほうが1・7倍売れるというデータもありますから、メニューの多様化によって1週間を通じてコーヒーマシンの稼働率を上げる効果が見込めます」

 とは前出の渡辺氏。ファミマのフラッペは現在、「カフェフラッペ」(290円)の定番のほか、数量限定で「チョコレートフラッペ」(290円)、「ストロベリーフラッペ」(330円)、「バナナジェラートフラッペ」(320円)、「チーズケーキフラッペ アップルソース仕立て」(330円)の計5種類がラインナップされている。季節限定のフレーバーを用意するというのは、やはりあのコーヒーチェーンにそっくりな気もするが……。

「スターバックスのフラペチーノを意識していることは間違いありません。ローソンもレンジで解凍してすぐ楽しめるフローズンドリンク『マチカフェ フローズンパーティー』シリーズを販売していますが、こちらもファミマと同じ価格帯で300円前後。これはスタバのフラペチーノのだいたい半額程度なんです。スタバの壁は高いですが、半額でおいしさを感じてもらえたならば、こちらに流れてくるお客さんも出てくるでしょう」

 フラッペにとどまらず、ファミマは今月12日からコーヒーマシンのホットミルクを活用した「アイス抹茶ラテ」と「アイスココア」(いずれも258円)の発売もはじめた。オペレーションは異なれど、ローソンも「アイスほうじ茶ラテ」(210円)や「アイスシトラスティー」(180円)、店舗限定で「アイス抹茶ラテ」(210円)を発売中だ。今のところ業界の雄、セブンは静観しているが、コーヒー、カフェラテに続く第3のヒット商品は「抹茶ラテ」となるのか……。

週刊新潮WEB取材班

2019年5月16日掲載

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