「コンビニコーヒー」最新事情 セブンに習ったファミマ、スタバ意識のフラッペ戦略

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 5月になるとコンビニコーヒーは、アイスがホットの売れ行きを上回るようになる。アイス用のコーヒー豆を補充しながら、店員は夏の訪れを感じる。コンビニ各社は昨秋から新型コーヒーマシンの入れ替え進めてきたが、いったいどこがどう変わったのだろうか?調べてみると、もはやコーヒーマシンはコーヒーだけのものではなかった。

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 コンビニコーヒーが広がり始めたのは2013年。まちまちだった各社の価格も、最近はレギュラーないしSサイズが1杯100円(税込:以下同)に落ち着き、新型マシンではもっぱら“時短”が取りざたされている。

 セブン-イレブンが昨年11月に刷新した「セブンカフェ」の新マシンは、ブラックコーヒー専用で、前面にタッチパネルを採用。所定の位置にカップを置くとセンサーがアイスかホットか、レギュラーかラージかを識別する。これにより従来のマシンにあったボタン押し間違いを防いでいる。さらに、1杯の抽出時間を約45秒から約39秒に短縮。たかが6秒と思われるかもしれないが、“コーヒー渋滞”が発生しがちな昼時のオフィス立地店舗では、「待ち時間が減った」と好評だ。

 一方で、一昨年の秋ごろから新型マシンの導入を進めてきたローソンは、豆を砕くグラインダーをフラットディスク形式に変更し、コーヒー豆をより均一に粉状にすることで、コーヒー本来の味をクリアに楽しめるようになったとアピールする。なかでも、コーヒーを約40秒から約25秒、カフェラテは約29秒から約20秒と大幅な時短を成功させたことに関係者は驚いた。が、実はコーヒーの抽出方法に“ライバル2社”と大きな違いがある。流通アナリストの渡辺広明氏はこう解説する。

「コンビニコーヒーはもともと、エスプレッソ式が主流だったんです。というのは、スターバックスに代表されるシアトル系コーヒーチェーンが定着させた深煎りのエスプレッソを、ロゴ付きの紙カップで飲むスタイルに大きな影響を受けていたから。ところが実際には、ペーパードリップ式を採用したセブンカフェのほうが日本人には好まれてよく売れた。そこでファミリーマートは昨秋、エスプレッソ式と決別し、ペーパードリップ式の新型マシンを導入したのです。残るエスプレッソ式のローソン『マチカフェ』は抽出時間の時短に成功したとはいえ、セルフではなく店員が手渡しするスタイルにこだわっているので劇的な時短にはつながりません。長期的にはセブンやファミマに分があると思います」

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