「肉汁餃子製作所 ダンダダン酒場」が株式上場、餃子の王将と大阪王将を脅かす日

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まだまだ成長が可能な“餃子産業”

 2018年5月、ネットメディア「サーチナ」は「日本人ってもしかして『中国人より餃子が好きなんじゃ・・・』=中国メディア」との記事を掲載した。

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 記事の内容は、《中国メディアの網易は10日、中国の各都市に増えつつある日本風居酒屋などで焼き餃子が提供されているのを見て、「日本人は中国人より餃子好き」だと感じる中国人は多い》と伝えたというものだ。

 そもそも中国で焼き餃子は一般的ではない。しかも盛んに餃子が食べられるのは北京や大連などを中心とする北部だ。広州や蘇州といった南部では蒸し餃子に一定の人気があるが、餃子自体を口にしない人も珍しくないという。

 背景には中国北部の麦食文化と、南部の米食文化の違いがあるわけだが、一方の日本では全国津々浦々の中華料理店で餃子が提供される。関東人は餃子を愛するが、関西人は餃子を忌避する、といったことはない。
 
 家庭の食卓にも登場し、日本国内の居酒屋でも見かける。こうした状況から、日本人の“餃子愛”に中国人も驚いたということらしい。

 マーケット調査会社・富士経済が作成した「外食産業マーケティング便覧 2016 No.1」の「ギョーザチェーン店」によると、餃子市場は依然として拡大傾向にあるという。ニンニク不使用の餃子が開発されたことなどから、女性客の“伸びしろ”も、まだまだ存在するそうだ。

 餃子の大手チェーン店を、シェア順のランキング形式で、ベスト5まで並べてみた。ご覧いただきたい。

 1位と2位は納得の結果だろう。3位から5位までは、ローカル色が比較的強い企業が並ぶのも興味深い。

 だが、いくら中国人より餃子を愛する日本人であっても、表の末尾にある「肉汁餃子製作所 ダンダダン酒場」(以下、ダンダダン酒場)というチェーン店をご存知の方は、まだ少ないのではないか。同チェーンは2001年に設立されたNATTY SWANKY(当初は「ナッティースワンキー」とカタカナ表記)という会社が運営している。

 主な理由は2つある。まず1つ目はダンダダン酒場の創業が2011年1月とまだ若く、これまでドミナント戦略による出店で成長してきたからだ。

 ドミナント戦略とは、特定の地域に集中して出店することを指す。ダンダダン酒場は1号店のオープンから2014年までの3年間、8店舗までを京王線沿線で展開していた。以来、月1店のペースで出店し出店エリアが徐々に広がってきている。

 公式サイトによると2019年5月5日現在、都内に50店舗、神奈川県内に11店舗、埼玉県内に5店舗、千葉県内に1店舗、愛知県内に2店舗――合計69店舗という具合だ。実質的には“東京ローカル”と言えるだろう。

 2つ目は、ダンダダン酒場の常連客でさえ、チェーン店だと知らない可能性があることだ。個人の経営する餃子店と勘違いしてもおかしくない店構えなのだが、これについては後述しよう。

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