支持率下落の文在寅政権、10年前に自殺の女優“性接待疑惑”解明で人気回復の愚

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文政権の人気に貢献した3つの事件

 昨年5月の83%をピークに急落、今年に入って過去最低の更新を繰り返す韓国・文在寅政権の支持率(ギャラップ・コリアによる世論調査より)。それが今年3月の第4週、小幅ながら回復を見せる局面があった。原因は同月18日、文大統領が国民の関心が高い3つの事件について、じきじきに徹底捜査を指示したことだとされる。3つの事件に共通するワードは、「性接待」だ。(高月靖/ノンフィクション・ライター)

 1つは、朴槿恵時代に任命された元法務部(法務省に相当)次官が、過去に建設業者から性接待を受けたとされる事件。もう1つは、今年に入ってトップクラスの男性K-POPアイドルが性接待=売春の斡旋、横領などで立件された事件。そしてもう1つが、2009年に女優チャン・ジャヨンが性接待の強要を苦に自殺したとされる事件だ。

 いずれの事件も警察や検察との癒着が疑われ、国民の間には司法の追及が捻じ曲げられたとの不信感がある。そうした不正に厳正なメスを入れるというパフォーマンスが、文大統領の人気回復に貢献したわけだ。

 だが一方で、元次官とチャンの事件については、現在の左派政権と対立する保守勢力への攻撃に利用されているとの声も根強い。とりわけチャンの死を巡るさまざまな動きは、そうした構図が大衆の善意まで巻き込んだ大きな社会現象にまで発展している。

 VIP相手の性接待を強要されて自殺した美人女優、そして残された手記と接待相手のリスト――。29歳で命を絶ったチャンの死を巡るスキャンダルは、日本でも連日大きく報道された。だが、その結末まで知る人は少ないようだ。ここで簡単に事件の経緯を振り返っておこう。

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