トンデモ韓国人に軍艦島の元住民が激怒、日本への憎悪を煽る荒唐無稽な言動とは

国際 韓国・北朝鮮 週刊新潮 2019年4月25日号掲載

  • ブックマーク

筋金入りの活動家

 名簿にもなく、元島民の誰もが彼を知らないと言い、証言も元島民と全く食い違うグ・ヨンチョル氏。彼は一体何者なのだろうか。

 グ氏の経歴に関して、公開情報では、1931年、慶尚南道梁山郡下北面草山里に生まれ、1939年に端島へ移住。端島高等国民学校二年に編入、端島で終戦を迎える。

 朝鮮戦争勃発により、グ氏の人生は一転した。1950年、朝鮮労働党入党。パルチザンとして山岳地帯を中心に米軍を襲撃する武装活動により逮捕され無期懲役。1974年に20年の服役後出所。筋金入りの活動家である。

 近年は「汎民連釜慶(釜山・慶北)」の連合顧問という重役にもある。この「汎民連」は、北朝鮮と韓国の両方に組織があり、「南側本部」は連邦制統一支持、米軍撤収、国家保安法撤廃を主張し、1997年大法院から利敵団体と認定されている。委員長を務めた文益煥(ムン・イクファン)牧師は、1989年韓国当局の許可なく訪朝して金日成主席と会談し、後に国家保安法違反等の容疑で逮捕、収監。死後北朝鮮から祖国統一賞が贈られ、切手にもなった人物である。民主労総の大会で、雨の中、老骨に鞭打ち、民族の怒りと自主独立を訴えるグ氏は、汎民連の顧問を務めるただならぬ活動家だったわけである。また公平を期すために、毎日新聞の知人を介してグ氏にも直接インタビューを試みたが、叶わなかった。

 軍艦島という小さな島は、今大きな問題になっている韓国のいわゆる徴用工判決のうねりの中では、取るに足りない小さな存在なのかもしれない。しかしグ氏の発言をそのままにしておくわけにはいかない。その言動は単に誤りということではなく、政治的意図が隠れている可能性さえあるのだ。

 日本は官民一体となり、日韓請求権協定により、2国間で「完全かつ最終的に解決され」「いかなる主張もすることができない」という前提で、歪曲された歴史にさえ、事実を主張することを遠慮し、慎み深く沈黙を通してきた。その一方で、日本への憎悪を煽る荒唐無稽な言動は、繰り返し世界中に流布され、今となっては定説になろうとしている。誤った事実関係を訂正せず、国際条約を守るべきという手続き論だけで、国際世論を説得できるだろうか。本稿を書いている最中にも、証言をいただいた坪内氏のご逝去の報に接した。元島民の名誉を踏みにじる「74年前の曖昧な記憶」が、人間の顔を取り戻すよう、戦中派がお元気なうちに対話を重ね、真実を紐解く努力が必要ではないだろうか。時間の猶予はない。

加藤康子(かとう・こうこ)
産業遺産国民会議専務理事。東京生まれ。慶大卒。ハーバード大ケネディスクール大学院都市経済学修士課程修了。国内外の企業城下町研究に取り組み「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録では中心的役割を果した。内閣官房参与。

前へ 1 2 3 4 5 次へ

[5/5ページ]