外見ディスは余計なお世話 霊長類最強女子・吉田沙保里のテレビでの戦い方

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 霊長類最強女子って、もしかして松居一代では!? 離婚騒ぎから坂上忍への宣戦布告まで、YouTubeで訴え続ける一代。強い、強すぎる、画面の圧力。マンハッタンの摩天楼をバックに芝居っ気たっぷりに語る姿、エグいほどの経済力と肝っ玉を感じる。あと「バイキング!」と名指しで怒る時の発音は「バ」じゃなくて「ヴァ」。「V」の発音はこうでなくちゃ。さすがニューヨーカー。

 さて、本家・霊長類最強女子の吉田沙保里である。現役時代は大人気だった彼女も、最近は批判の声もちょくちょく上がる。カラコンやらまつげエクステでイイ女気取りとか、ジャニーズにはしゃいで痛々しいとか、結婚願望が強すぎるとか。いやー余計なお世話でしょ。また、栄監督のパワハラ問題に沈黙していたことも後を引いているらしい。

 思うに、テレビの「お約束」に乗っかっていないということだろう。黙って座ってていいのは、美人女優だけ。違うなら、やるべきことがあるでしょと。例えば、外見を褒められたら真に受けず笑いに変える。若いイケメンにからむなら、中年女性であることを逆手にとった自虐でプラマイゼロに(久本雅美や大久保佳代子が得意なやつ)。みんなが嫌いな悪者は、一緒に叩いてスカッと解決。もしこうしたことが適度にできていたら、批判の声はもっと少なかった気もする。身の程をわきまえた、サービス精神あふれるキャラだね、と。うーんやっぱり余計なお世話。そしてすごく失礼な話だ。でもきっと、吉田はやれと言ったらやってくれるタイプだと思う。

 では何故やらないかというと、単にテレビルールをよくわかっていなかったからだろう。もともとアスリートという、テレビにとっては「お客様」側だった人である。だから自虐や炎上ネタに乗っかるような、番組側の都合の良いルールに慣れていないだけ。最初からやれという方が無理がある。

 テレビ界のルール。それは、旧人類的なおじさんとおばさんのルールでもある。今でこそ批判される、ブスいじりや若手芸人に対する度を越したドッキリ企画。しくじった人間叩きにいそしむワイドショー。言い換えると、「俺様より格下の者」は、いじって(いじめて)なんぼ、という意識が透けて見える構図。いまのテレビ番組を見渡せば、怒っている芸能人か中年以上の芸能人ばかりが回しているのも、きっとそういうことだろう。同じアスリート枠でも丸山桂里奈が重宝されるのは、「バカだなコイツ」という旧人類的話法に乗っかってくれる典型例だからだ。そして自戒を込めて言うならば、そんなテレビを見続けているメイン視聴者層もまた、怒りを持て余す中高年という旧人類なのだろう。若者のテレビ離れと言われて久しいが、そりゃ離れるのも納得だ。

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