外見ディスは余計なお世話 霊長類最強女子・吉田沙保里のテレビでの戦い方

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霊長類最強女子から新人類最強女子へ 一代たちに学ぶ新しいテレビでの戦い方

 テレビの俺様意識。それは10年前まではギリギリ理解できることだったかもしれない。テレビに出るということが、一種のステータスだった時代。そしてフジテレビが特に顕著だが、局員も含めた内輪ウケがコンテンツになりえた時代。その黄金期を楽しんできた番組サイドと、違和感を持たずに来た視聴者が、きっと過渡期にいるのだ。視聴者との共犯関係を信じて、不倫や犯罪の当事者を叩きまくるワイドショーはわかりやすい例である。例えばこれまた「バイキング」だが、ピエール瀧への報道姿勢をあんなに否定されるとは思わなかったはずだ。石野卓球にツイートでおちょくられた当初は反発していたし。でも卓球支持の声が一定数あるのを見るや、追及の手はトーンダウンした。旧人類たちはネットでの評判=若者の声ととらえがちだ。そして「わかってないな」と言うのは得意でも、「ダサい、わかってない」と言われるのを死ぬほど嫌う。

 テレビで受けた侮辱は、テレビで返す? それはテレビが黄金期の話。今は一代や卓球のように、きちんと発信力さえあれば、テレビ外でおちょくった方が世間を巻き込める時代なのだ。そして楽しく戦える。

 引退会見ではバラエティが好きと語った吉田。幸か不幸か、きっと彼女もテレビ好きという絶滅危惧種のひとりなのだろう。テレビを見て育ち、テレビ大好きと言える最後の世代。そんな彼女もインスタでは26万人を超えるフォロワーを持っている。テレビルールでは上手く戦えなくったって、テレビ外での新しい戦い方を覚えておいて損はないはずだ。今のテレビに慣れなくてもいい。誰かの決めた「身の丈」「キャラ」から、はみ出して何が悪い。霊長類最強女子から、新人類最強女子としての戦い方へ。彼女がのびのび暴れ続けられれば、テレビはきっともっと豊かになる。同じテレビ好きとして、そう願っている。

(冨士海ネコ)

2019年4月16日掲載

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