東京では2人に1人が花粉症、大気汚染は改善されても今後も患者は増加する“皮肉”

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 この季節になると、花粉症対策でマスク着用の人々を街で見かけることは多いが、特に近年は花粉症患者自体が急増し問題となっている。2017年末に発表された直近の調査では、東京都は都民のスギ花粉症推定有病率が48.8%にも上ったという結果を発表した。2人に1人が花粉症というのはあまりに衝撃的である。一体、どうして花粉症患者はここまで増えてしまったのだろうか。

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 過去の調査によれば、東京都内のスギ花粉推定有病率は、1983~87年度の調査では10.0%、96年度は19.4%、06年度は28.2%、そして先述の17年度は48.8%と、年々増加傾向にある。

 花粉症原因物質研究の第一人者で埼玉大学大学院理工学研究科・王青躍教授は東京都に花粉症患者が多い理由を次のように語る。

「ここ数年、花粉症の患者数は特に東京都で増加していますが、そもそもこれは関東全体の問題といえます。今年の関東は6年ぶりにスギ花粉が大量飛散するとの予想が出ていましたが、前提として関東周辺に杉があまりにも多すぎるということはある。ただし、意外に思われるかもしれませんが、花粉症の症状は花粉の飛散量自体とはあまり関係がないと考えられているんです」

 問題は花粉の“量”のことではなく、空気中で飛散している花粉と大気汚染物質が接触し、花粉が“爆発”する現象が問題を悪化させている“質”のことにあるという。

「花粉の大きさは、大体30ミクロン。これは、近年、大気汚染の原因として問題になっているPM2.5の10倍以上の大きさです。ところが、花粉が大気汚染物質と接触したり、雨に濡れたりすると、破裂する現象が起こります。花粉が破裂して粉々になると、PM2.5よりも小さいアレルゲン物質微粒子が放出され、結局、花粉の表面と中にあるアレルゲン物質が大量に飛散します。これが人間の鼻や喉のフィルターを通過し、肺の奥深くに入り込んでしまって大量曝露を起こしてしまうのです」

 王教授によれば、人間の体内には、花粉などのアレルゲンを入れられるバケツのようなものが備わっており、花粉に曝露され続け、このバケツがいっぱいになって溢れてしまうと、花粉症が発症するのだという。バケツの大きさには個人差があり、食生活やストレスなどの環境によっても異なるようだ。

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