海苔「半世紀ぶりに大不作」で寿司の値段はどれだけ上がる?

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 実に、この10年で5割以上も値上がりした食材がある。それは日本人の食卓には欠かせない海苔。特に、今年は半世紀ぶりの大不作で、家計にも少なからず影響が出そうだ。

 11月から5月にかけて生産される海苔は、1枚単位(縦21センチ、横19センチ)で取引されるという。全国漁連のり事業推進協議会によれば、今年2月末時点で生産量は約47億6千万枚、1枚当たりの取引価格は13・77円。前年同月比で生産量は約7億9千万枚減り、価格は57銭値上がりしている。全漁連に不作の原因を聞くと、

「主な原因に、海水温の上昇が考えられます。海苔養殖の適温は10~20度ですが、今年は海水温が下がらず、冬場は動きが鈍いはずのアイゴやクロダイなどが海苔の新芽を食べた可能性があります」(総合管理部)

 ちなみに、2008年度の生産量は約90億9千万枚、価格は1枚8円80銭。ここ10年、生産量は減少し、取引価格は右肩上がりだ。外食産業に詳しい経済ジャーナリストの福田健氏の解説では、

「海苔の国内消費量は約80億枚で、その7割がコンビニで売られるおにぎりを始めとした業務用。今年の生産量は最終的に64億枚と、1972年以来の低水準になる見通しで、10億枚以上が不足する計算になります」

 1皿100円前後の回転寿司業界にも影響は少なくない。大手回転寿司チェーンの幹部も不安を隠さず言う。

「保存が利く海苔は大量に確保しているので、現時点での値上げはまったく考えていません。とはいえ、海苔の価格がこれ以上高騰すれば、今の値段での提供は厳しい。今後は、海外からの仕入れも検討せざるを得なくなるかもしれません」

 だが、個人店は値上げに踏み切らざるを得ないという。都内で寿司屋を営む主人は、

「ちゃんとした巻物を出すなら、やはり海苔も国産。10月に消費税も上がるので、値上げのタイミングが難しいですね」

 国産海苔でスシを食べたいなら、多少の出費は覚悟すべき?

週刊新潮 2019年4月4日号掲載

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