「人工透析」患者は病院の定期的な収入源 「福生病院」事件に見る“闇”

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血液透析は病院のキャッシュディスペンサー

 超高齢化に伴い、ただでさえ医療費の増大は国家的問題になっているのに、毎年増えていく透析費。だが、医療界からこれを問題視する声はあまり聞こえてこない。一体なぜか。そのカラクリを、石橋由紀子氏が説明する。

「血液透析患者は病院にとっての定期的な収入源であり、経営の安定につながる存在だからです」

 病院サイドにしてみれば、患者をひとり「獲得」すると1年で500万円の「安定財源」を確保できる。しかも、永続的ではない腹膜透析に比べて、血液透析は患者が亡くなるまで永遠に行われるので「長期安定財源」になる。患者を生涯、血液透析に「塩漬け」にすることで、病院側が楽に儲けられるシステムが確立されているのである。

「血液透析は病院にとってのキャッシュディスペンサー(CD)と言う人もいます」(前出の厚労省関係者)

 なぜなら、特定疾病の認定を受けた透析患者の透析医療費の自己負担は月1万円程度で済むからである。つまり、患者が金銭的負担を感じることがないので血液透析に「誘導」することが容易であり、その分を国庫というCDから引き出せるのだ。病院にとってこれほど「おいしい話」はなかろう。その結果、患者は死ぬまで週3回長時間、ベッドに縛られていると考えると……。

(3)へつづく

週刊新潮 2019年3月28日号掲載

特集「治療再開の意思に病院は応じず…『人工透析』と『尊厳死』」より

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