玉城デニー沖縄県知事がぶち上げた「一国二制度」の穴

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 沖縄自治州の創設を!

「AERA」の3月11日号の誌上でそんな“妙案”を披露してみせたのは、沖縄県の玉城デニー知事である。

 2ページにわたって掲載されたインタビュー記事の後半で、〈多くの県民が望むのは、政府から「これだけの財源と権限で沖縄の行政をしっかりやって下さい」と任される一国二制度です〉とぶち上げたのだ。

 ところが、

「玉城さんの“一国二制度”は、今に始まったことではありませんよ」

 と苦笑いするのは地元記者である。なんでも、

「代議士だった昨年5月には、国会の質疑で安倍総理に対して“沖縄を一国二制度に”と要請したこともあったくらいですから。1972年の本土復帰以来、沖縄には振興開発の名のもと12兆円以上の予算が投じられており、現在も続いている。玉城さんは、この財源を使い、さらに関税や消費税をゼロにすることによって、沖縄の経済が向上すると考えているんです」

 つまり、カネは出しても口は出すなということで、子どもの駄々と変わらない。

 これについては、京都大学名誉教授の中西輝政氏も、

「一国二制度というのは中国のトウ小平が香港返還のために用いた政治的プロパガンダで、そもそも実体のない言葉。玉城知事の言説からは、何について一国二制度としたいのか、今ひとつ伝わってきません」

 と手厳しいし、防衛大学校名誉教授の佐瀬昌盛氏も、

「冷戦時代のドイツもいわば“一国二制度”でしたが、東ドイツから西ドイツへと人口の流出が止まらなかった。要するに、一国二制度などというのは体制の歪みを糊塗するため、為政者に都合よく使われてきた言葉に過ぎないのです」

 さては、何か隠したい歪みでも出てきたか。

週刊新潮 2019年3月21日号掲載

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