「アポ電強盗」急増のワケ 被害に遭わないためにすべきこと

社会週刊新潮 2019年3月14日号掲載

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 東京・江東区で80歳の女性が犠牲になった強盗殺人事件。その影響で広く知られることになったのが、「アポ電」という言葉である。狙った家の資産状況などを把握するために犯人が事前にかける電話のことだが、こうした犯罪から身を守る「最善の方法」とは。

「アポ電(アポイントメント電話)」に出てしまったが最後、強盗に狙われて命を落とすかもしれないのだから、これほど恐ろしい話もあるまい。

 目下、警視庁が同一犯の可能性も含めて捜査を進めているのは、今年1月から2月にかけて東京都内で相次いで発生した以下の三つの事件だ。

 最初に発生した事件の現場は渋谷区初台の一軒家。1月11日未明に男3人が押し入り、90代の夫と80代の妻を縛った上で現金約2千万円と宝石などを奪い、家にあった電話機を壊してから逃走した。夫が自力で緊縛を解き、向かいの家に助けを求めたのは、事件発生から3時間後のことだった。事件の2日前、被害者宅には息子を名乗る人物から、家にある現金の額を聞き出そうとする電話、いわゆる「アポ電」がかかってきていた。

 次の事件は2月1日に起こっている。3人組の男が渋谷区笹塚の一軒家に押し入り、80代の夫と70代の妻の両手を結束バンドで縛り、室内のインターホンを壊した上で現金約400万円を奪って逃走した。警察官を装った犯人は、「猫が外で死んでいる」と言って家のドアを開けさせたという。事件発生前、やはり家の資産状況を尋ねる「アポ電」があった。

 これら二つの事件の関連を警視庁が捜査していた最中の2月28日、ついに「第3の事件」が起こる。東京都江東区のマンションの一室で遺体となって発見されたのは、加藤邦子さん(80)。両手足を縛られ、口は粘着テープで塞がれた状態だった。また、留守番電話機能付きの固定電話のコードは切断され、内壁のインターホンはモニター部分が引きはがされていた。

「部屋全体が激しく荒らされていましたが、封筒と財布に入った150万円以上の現金は残されたままで、押し入れの奥にあった金庫も触られた形跡がない。この事件でも、事前にアポ電がありました」(捜査関係者)

 強盗致死事件として捜査を始めた警視庁は3月1日に容疑を強盗殺人に切り替え、深川署に特別捜査本部を設置した。

「事件に対する世間の反響が大きかったため、警察庁からの指示もあり、強盗致死から強盗殺人に切り替えた。死刑など、より重い刑罰を与えたいという捜査当局の強い意思が窺えます」(社会部デスク)

 振り込め詐欺グループは、被害者を殺すことも厭わないほど凶悪、粗暴化しているのか――事件の報に触れた多くの人がそんな感想を抱いたはずである。

 警視庁の統計によると、「犯行予兆電話」、すなわち「アポ電」がかかってきたという通報は昨年1年間で3万4658件。前年から8747件も増えた。

「アポ電が増えている背景には、全国における特殊詐欺の件数と被害金額、両面での減少がある。警察や金融機関の取り組みが一定の成果をあげる中でも詐欺師たちは稼がなくてはならず、犯行の手口が凶悪化しているのかもしれません」(元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏)

 詐欺などに詳しいジャーナリストの多田文明氏は、

「これまでは最終段階でお金を渡さなければ被害を回避できた。それが今では情報を渡しただけで被害に遭うケースが出てきたわけで、やり方が荒っぽくなっているのは間違いない」

 と指摘するが、先の捜査関係者によると、

「アポ電から強盗に入る手口が増えたのは最近。その理由は、振り込め詐欺の金の受け取り役である“受け子”の逮捕が増えているからです。受け子が逮捕されると金が入ってきませんが、強盗ならほぼ確実、というわけです」

 では、「アポ電強盗」の被害に遭わないためにはどうすれば良いのか。結論を先に述べてしまうと、「迷惑電話防止」機能の付いた固定電話を使用するか、既存の電話に「詐欺対策グッズ」を取り付け、怪しい電話を取らなくても済むようにするのが最善の方法だ。犯人と話さなければ、家に金があるかどうかが漏れるリスクはゼロになる。

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