大阪「ダブルクロス選挙」、維新の“奇策”はどこが問題か ロシアじゃあるまいし…

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候補者のキャラより重要なこと

 さて、入れ替わりのW戦を予想していなかったわけではなかったが、慌てた自民党府連は、大阪市育ちで京都大学出身の「インテリ俳優」辰巳琢郎氏(60)に知事選への出馬を要請した。党本部から二階俊博幹事長(80)まで来て懇願したが「大阪愛は人一倍持っているが選挙に出るかは別の話だ」と固辞され、元副知事を擁立する動きだ。(3月11日現在)。とはいえ、知名度のない候補者を短期間で市民に浸透させるのは至難だ。投開票日は4月7日と迫る。もちろん、維新はそれを見越している。

 かつて「おもろかったらええやないの」とばかり横山ノック知事(故人)を選んでしまった大阪府民に訴えたい。候補者のキャラクターにばかり注目せず、選挙や政治の根幹、ひいては民主主義をよく考えてほしい。大統領職と首相職を交代しながら多選批判をかわして長期独裁政権を画策する、ロシアのプーチン大統領(66)とメドベージェフ首相(53)のやり方にも似ているのだから。

粟野仁雄(あわの・まさお)
ジャーナリスト。1956年、兵庫県生まれ。大阪大学文学部を卒業。2001年まで共同通信記者。著書に「サハリンに残されて」「警察の犯罪」「検察に、殺される」「ルポ 原発難民」など。

2019年3月13日掲載

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