間違いだらけの「がん検診」 40歳からの「肺」「大腸」「胃」正しい受け方を検証

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年齢・部位別に検証! 間違いだらけの「がん検診」(2/3)

 厚労省の指針では、おおむね“40歳以上”が対象とされている各がん検診。だが、高齢者ともなれば、バリウムの誤嚥による肺炎や、内視鏡で腸に傷がつくなどの「偶発症」リスクがある。精神的、金銭的な負担もあり、国立がん研究センターの中山富雄検診研究部長も「傾向として、80歳を超えると健診のメリットはさほど増しません。一方で予想しない事故などのリスクはうなぎ上りです」と説く。あらかじめ知っておきたい、年齢・部位ごとの検診の受け方である。

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 まずは、数多のがんのなかで98年から死亡者数トップ、17年には7万4千人が亡くなっている「肺がん」である。

『日本一まっとうながん検診の受け方、使い方』を著した「近藤しんたろうクリニック」の近藤慎太郎院長が言う。

「肺がんは、喫煙によりリスクが男性で4・4倍、女性で2・8倍高まると言われています。厚労省の指針では、40歳以上の人は年1回のX線検査となっており、さらに喫煙者は痰からがん細胞を検出する喀痰細胞診を受けますが、たばこを吸わない人でもX線検査は毎年の受診をお勧めします。なぜなら肺炎の発見にも有効で、また心臓も写るため、大きさで心不全の有無もチェックできるなど、メリットが多いのです」

 喫煙者については、体の断面図を撮影し、臓器を立体的に捉えるCT検査も検討すべきだという。

「X線検診を受けることで、肺がんの死亡率は3~6割下がると言われています。米国の臨床試験ではさらに、CT検診によってX線検診より死亡率が20%下がったとの報告があります。現在、CT検診は自治体の検診ではほとんど導入されておらず、人間ドックのオプションでは自己負担となりますが、喫煙者であれば2~3年に1度はCTを受けることをお勧めします」(同)

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