W杯出場男子バスケ日本代表監督はなぜアルゼンチン人なのか

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 昨年夏、ジャカルタで行われたアジア大会で“買春騒動”を起こした男子バスケ日本代表が汚名を返上した。W杯アジア予選で8連勝し、21年ぶりに自力でのW杯出場権を獲得した。

 これまでの男子代表は、国際バスケ連盟から“あまりに弱い国は、五輪開催国であろうと出場を認めない”と東京五輪出場にダメ出しを食らうほどの体たらくだったが、今回の結果を受けて44年ぶりの五輪出場へ大きく前進した。

 はたして急成長の原動力は何だったのか。

 今季からNBAでプレーする渡邊雄太(24)や、NCAA(全米大学体育協会)で活躍する八村塁(21)など、ここにきて次々と才能が開花しているのは確かだが、大一番のラスト2戦に彼らは出場していなかった。つまり、日本バスケ全体が底上げされたと言えるのだ。

「キーパーソンは、東野智弥技術委員長(48)です」

 とスポーツライターの大塚一樹氏が語る。

 東野氏は、bjリーグ浜松・東三河の監督として優勝経験もある指導者。2016年、当時の川淵三郎JBA(日本バスケットボール協会)会長が現職に抜擢した。

「東野さんがユニークなのは、早稲田大大学院でアルゼンチンのバスケの研究を重ねていたことです」

 アルゼンチンといえば言わずと知れたサッカー大国。バスケが盛んだったとはついぞ聞き及ばないが、そんな国が04年アテネ五輪で金メダルを獲得した。

「アメリカは、バスケが国民的人気スポーツ。2メートル超の“動ける大男たち”が放っておいても次々出てくる国と同じことをしていても追いつけない。そこでアルゼンチンは、速攻やパス回し、ディフェンスといった、小さな体躯でも勝負できる技術を磨く独自の育成法に取り組むことで強豪国の仲間入りを果たした。東野さんはその手法を日本代表強化のお手本としたのです」

 東野氏は17年7月、12年ロンドン五輪でアルゼンチンが4位になったときの監督、フリオ・ラマス氏(54)を招聘。一貫した方針が実を結んだ格好だ。

 W杯は今年8月31日から中国で開催される。

週刊新潮 2019年3月7日号掲載

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