沖縄県民投票、辺野古反対“37.6%の民意”はなぜ説得力に欠けるのか

国内 政治 2019年2月25日掲載

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政府の説明責任は

 軟弱地盤の存在を以前から知りつつ、これまで有効な対策を講じてこなかった政府の責任は、きわめて重いと言わざるをえない。辺野古移設反対派と対峙してきた元在沖縄米軍海兵隊外交政策部次長のロバート・エルドリッヂ氏も、「辺野古移設をめぐる日本政府のこれまでの対応は詐欺に近い」と厳しく指弾している。このままでは辺野古移設それ自体の正当性が揺らぎかねない。

 政府は、軟弱地盤の問題を含む埋立て事業全般について、その必要性や機能のあり方、工法などを中心により丁寧で合理的な説明を心がけるべきだ。政府のこれまでの不十分な対応が県民の不信感の元になっていることは疑いなく、県民投票の結果から部分的に明らかになったように(NHKなどの出口調査によれば、自民支持層の約半数が「埋立て反対」に投票)、「埋立て容認」の自民党県連は県民から半ばそっぽを向かれたかたちだ。

 2022年から新たな「沖縄振興策」(補助期間10年)が実施される予定となっている。おそらく玉城知事は「37.6%の民意」と「軟弱地盤」を盾に、「より手厚い振興策」を求めてくるだろう。今や飴(補助金)とムチ(基地負担)の関係が政府と沖縄の関係の「すべて」になってしまったが、こうした不健全な状況に歯止めをかけるためにも、政府は辺野古に関する説明責任を誠実に果たす一方で、「飴」の増額要求には毅然とした姿勢を示すべきだ。玉城知事も「37.6%の民意」にもたれかかった見せかけの対話姿勢でお茶を濁すのではなく、「出口」を見出す努力を惜しむべきではない。

 この世に絶対的な正義など存在しない。別の言い方をすれば、「善玉」など一人もいない。こうした「事実」を認識した上で、政府と沖縄県の双方が、お互い「出口」を見出すための地道な作業を積み重ねるほかない。さもなければ、日本は本当の三等国に成り果ててしまうだろう。

篠原章(しのはら・あきら)
評論家。1956年山梨県生まれ。経済学博士(成城大学)。大学教員を経て評論活動に入る。沖縄問題に造詣が深く、著書に『沖縄の不都合な真実』(共著)、『報道されない沖縄県基地問題の真実』(監修)、『外連の島・沖縄 基地と補助金のタブー』など。

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