沖縄県民投票、辺野古反対“37.6%の民意”はなぜ説得力に欠けるのか

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玉城知事の嘆く「不幸」

 玉城デニー知事は、県民投票の結果を受けて、日付が変わった25日深夜に記者会見を開き、2度も県民投票を実施せざるをえない立場に追い込まれた沖縄の「不幸」を嘆いた。しかしながら、辺野古移設をめぐる23年間の経緯を振り返ると、この「不幸」については、「政府対沖縄県」という対立の構図にあえてこだわりながら、沖縄振興策(補助金・優遇策)という「飴」を求めつづけてきた沖縄の側にも大きな責任がある。この点を見すごして、沖縄の「不幸」は語れない。

 無論、辺野古移設について十分な説明責任を果たさず、脱法的な措置や荒っぽい手続きを使って作業を進めている政府も、責任を免れることはできないが、主要なメディアが好んで用いる「政府という悪代官が沖縄という善人を虐めている」というフォーマットも、実態を的確に反映したものではない。浦添市沿岸を埋め立てて那覇軍港(米陸軍が管理)を移設する計画を進めている沖縄県に、「辺野古埋立て反対」を唱える「善玉」の資格があるのだろうか。沖縄県もけっして「善玉」とはいえない。
 
 とはいえ、「埋立て反対」に有利な風が吹き始めていることは否定できない。「37.6%の民意」が示されたからではない。埋立て区域内にある軟弱地盤が、予想以上の障害となりつつあるからである。調査の結果、軟弱地盤は最深部で90メートルに達するという。政府はこの軟弱地盤に7万7000本の杭を打ち込んで地盤を安定させる方針だが、地盤改良のために必要なサンドコンパクション船(「SCP船」)が対応できる水深は70メートルであり、水深90メートルの地盤を改良するためにはあらたに「SCP船」を建造する必要がある(日本にも海外にも水深90メートルに対応できる「SCP船」は存在しない)。おまけに、工事が設計変更を伴えば、新たに玉城知事の承認が必要となる。知事が設計変更を承認する可能性は乏しい。事態はいっそうもつれることになるだろう。

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