「まんぷく」効果で日清「チキンラーメン」売り切れ店続出 袋麺よりカップ麺が人気

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若年層と高齢者の需用を発掘

 老舗の信頼感と新鮮味のなさは、コインの裏表と言える。チキンラーメンと聞けば、誰でも商品と味を思い浮かべることができる。ブランドの価値は高い。

 だからこそ、買ってもらえないリスクもはらむ。スーパーやコンビニでチキンラーメンではなく、視界に飛び込んできた新発売のカップ麺を選んでしまう人は、決して少なくないはずだ。

「もちろんチキンラーメンは弊社の看板ブランドの1つです。ですが実際のところ、『以前は食べていたが、最近は食べなくなった』というシニア層のお客さまや、『名前は知っているが、食べたことない』という若い世代のお客さまがいらっしゃるのも事実です。私たちは17年度から、チキンラーメンを老若男女、更に多くの方々に食べてもらうにはどうしたらいいか考え、様々な取り組みを行ってきました」(同・広報部)

 若年層の需用を掘り起こしたと見られているのが、18年4月に発売された「チキンラーメン 具付き3食パック アクマのキムラー」だ。元祖はキムチを使ったアレンジメニューで、SNSなどで話題となっていた。それを“本家”がまずカップ麺で商品化し、更に袋麺タイプも開発したのだ。

 最大の特徴は、「お湯をかけるだけ」だったチキンラーメンに、乾燥食材と特製の調味オイルが添付されたことだ。ちなみに具材は「キムチ・かき玉・にら」となっている。辛いチキンラーメンという意外性が注目され、人気商品となった。

 逆にシニア層の要望に応えたのが、17年9月に発売された「お椀で食べるチキンラーメン 3食パック」だ。

「チキンラーメンが60周年を迎えたということは、今のシニア層は子供のころから即席麺に親しんできた世代です。一方で、食が細くなりたくさんは食べられないぶん、少しずつ多くの種類の料理を食べたいと思うようになっている。更に『スーパーで惣菜を買っても、ちゃんとお皿に盛り付けて食卓に出す』という主婦の声がヒントになり、『少量の麺を家庭のお椀に入れて食べる』という新商品を開発したのです」(同・広報部)

 ちなみに「お椀で食べるカップヌードル」も発売されており、こちらも好評だというが、これに加えてテレビCMやネット上のプロモーションにも力を入れた。その上で広報部は、“ドラマ効果”を認める。

「NHKさんが『まんぷく』を放映していることが、売上増加の要因の1つになっていることは間違いないと思います」

 今後、日清食品は「100年ブランドカンパニー」の実現を目指す。チキンラーメンで言えば、40年後の2059年でも、定番ブランドとして普通に売られていることを目標にするそうだ。

週刊新潮WEB取材班

2019年2月21日掲載

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