「まんぷく」効果で日清「チキンラーメン」売り切れ店続出 袋麺よりカップ麺が人気

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1週間、ラーメンの試食シーン

 NHKの連続テレビ小説「まんぷく」が相変わらず好調だ。2月8日の金曜に放送された108話は21.9%だった。

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 ビデオリサーチが発表した「2月4日~10日」の関東地区における視聴率。もちろん「ドラマ」部門の1位だが、話はそれだけにとどまらない。

 報道部門や音楽部門など、全てのカテゴリーを合わせてもトップだった。というより、他には20%台に達した番組が1つもない。文字通りの圧勝だったのだ。

 このドラマ、「チキンラーメン」の生みの親として知られ、日清食品ホールディングスの創業者である安藤百福(1910~2007)と、妻の仁子(まさこ:1917~2010)をモデルにしたことは、もはや常識と言っていいだろう。

 もっとも、実際にラーメン作りが始まるまでが長かった。振り返れば、長谷川博己(41)が演じる立花萬平が「ラーメン! 確かにそうだ」と叫んだのは1月22日の火曜に放送された第93話だ。

 2018年10月1日に第1話が放送されてから約2か月半の間、全く“本題”に入らなかった。にもかかわらず、常に20%前後の視聴率を維持した。脚本と演出、そして俳優陣の演技が視聴者の支持を受けていなければ、こうはいかなかっただろう。

 2月11日の月曜から始まった「できたぞ!福子!」のシリーズでは、どんどん「まんぷくラーメン」が完成に近づいていく。

 まず11日(月)の110話で、萬平が麺を油で揚げることを思いつく。試作品を作って湯をかけると、安藤サクラ(33)が演じる妻・福子が「おいしいです、萬平さん!」と目を輝かせる。

 大阪大学教授に「油で揚げた麺が熱湯で戻るメカニズムとメリット」について太鼓判を押してもらうと、萬平は更なる改良に没頭していく。だが、生活費が底をついていることが明らかになる。

 12日(火)の111話は、麺を油で揚げる方法が追求される。実際に生産するとなると、なかなか麺が均一に揚がらないのだ。一方、生活費の問題は長姉の夫が「僕が出せる金額なら、いくらでも貸す」と申し出る。

 そして13日(水)に放送された112話で、遂にラーメンが完成する。「油はラードとゴマ油が最適」と判明、萬平は「できた、福子」と歓喜し、「万歳!」と叫ぶ。みんなで試食すると、「ほんまに美味しい!」の大合唱となる。

 14日(木)の113話は、「萬平と福子で『まんぷくラーメン』」と商品名が決定。包装のデザインも完成し、いよいよ生産に入る準備が整う。

 15日(金)の114話では、生産ラインの計画がまとまり、価格も決まる。だが、ラストで福子が倒れてしまう。

 16日(土)の115話は、福子が休養を取ってラーメン作りから離れる。そして遂に、大阪の百貨店で販売を行うことが決まる。ラストシーンは、「昭和33年8月25日」に、萬平と福子が売り場で呼び込みの声を張りあげるところだ。

 この1週間、視聴者は、主人公たちが「まんぷくラーメン」を試食するシーンを見続けることになったのだ。モデルとなったチキンラーメンに意識が向かない、という人のほうが少数派だろう。

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