就活は本当に“売り手市場”? ルール廃止で激変する「就活戦線」の必勝戦略

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エントリーシートに10時間以上…

〈就活のスタートは文字通り「エントリーシート」だが、まず学生たちはこれに膨大な時間を費やしているという。〉

「エントリーシートは手書きしか受け付けない」という企業は少なくありません。応募者を減らしたいから意地悪しているのですが、それに対して学生たちは、一字間違えただけで最初から書き直したりしています。本当は“修正液を使ったら落とされる”なんてことはないんですけどね。でも、そんなこんなで学生が1枚のエントリーシートを書くのに費やす時間は2〜3時間。第1志望だと、いろんな人に見てもらったりして10時間以上掛けています。

 続く「会社説明会」も、学生に無用の負担を強いています。学生たちをわざわざ1カ所に集め、パワポという名の紙芝居で、公式サイトに載っているありふれた情報を縷々(るる)説明しているだけ。そんな説明会のために学生たちは授業を欠席せざるを得なくなっているのです。

 昨年、サイバーエージェント社が画期的な改革を断行しました。年間100回催していたリアル会社説明会を全面廃止し、ネット動画で閲覧する方式に変更したのです。これにより学生は、授業を休むことなく、夜ベッドで寝そべりながら説明会を視聴できるようになりました。“引く手あまたの優秀な学生ほど面倒なところには行かない。だから、余計な負担を強いない方がより優秀な学生が集まる”ということに、サ社は気付いたわけです。

 これこそが、“学生ファーストの採用”だと思いませんか。就問懇も、学生のことを考えているというのなら、こういったことを議論してほしいですね。

(2)につづく

曽和利光(そわ・としみつ)
人材研究所代表。1971年愛知県出身。京都大学教育学部教育心理学科卒。95年リクルート入社後、同社人事部ゼネラルマネージャーに。開業直後のライフネット生命の人事責任者などを経て、2011年人材研究所を設立。著書に『人事と採用のセオリー』など。

週刊新潮 2019年2月7日号掲載

特集「『学生』『親』『人事部』必読! 『ルール廃止』で激変する『就活戦線』の必勝戦略」より

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