チャンネル変えても「嵐」の話題ばかり… 清々しき“横並び体質”(中川淳一郎)

芸能 週刊新潮 2019年2月14日号掲載

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 嵐の2020年末での活動休止に関し、翌朝の民放テレビの横並び体質が実に清々しかったです! 日本テレビ、TBS、フジテレビ、テレビ朝日のいずれも8時からの情報番組がありますが、トップの話題は当然、嵐。日テレは2時間25分、それ以外は約2時間の番組です。この日、どんな流れを辿ったか振り返ってみましょう。

【日テレ】~8:54(会見の様子+過去映像)→スタジオへ 9:04終了

【TBS】~8:35(同)→スタジオへ 9:07終了

【フジ】~8:53(同)→スタジオへ 9:17終了

【テレ朝】~8:38(同)→スタジオへ 8:49終了

 TBS「ビビット」の場合は、キャスターにジャニーズ事務所の先輩・国分太一がいるだけに、事情通がいて少し深みのある話に感じられました。フジ「とくダネ!」は、小倉智昭さんと伊藤利尋アナが過去に何度も嵐と共演していることから、その仲の良さをアピールするなど、各局「ワシらこそ嵐と関係が深い!」合戦に終始します。それこそ、「VS嵐」のフジと「嵐にしやがれ」の日テレは秘蔵映像出しまくり! テレ朝は「ミュージックステーション」出演時の様子を必死に繰り出すも、流れる曲、デビュー曲以外聴いたことねぇ~!

 他のネタはねーのかよ! とチャンネルを変えても、どこも嵐の話題ばかり。途中から「こりゃ、何時何分までこいつらが嵐の話をするかメモして原稿に書くか」というモードになったものの、ついに8時台前半は、初めてNHK朝ドラ「まんぷく」を見てしまいましたよ。

 ようやく9:17に「ワシらが一番嵐と仲がいいんだもんね。活動休止直前には生出演してもらって特番やるべく今からツバつけとくんだからね」的姿勢がプンプン漂ってくるフジが終了。

 ここからさらに民放4局は華麗な連係プレイのごとき横並びを見せます! 次に全局が放送したのは、大坂なおみが全豪オープンで優勝したことと世界ランク1位になった件。ここまで来ると本当にお見事です!

 いやぁ~、この四つの中で、抜け駆けを仕掛けようとする局ってなかったんですかね? さすがに最初は嵐の件にせざるを得ませんが、3分ほどこの話題の要点だけを伝え、「これについては後ほど詳しくお伝えします」として、前日まではトップにすることが決まっていたであろう大坂なおみの話題を先に持ってくる。

 8:00から8:49までは全局が嵐の話題を放送していたわけで、全国で何百万人もの人がザッピングをしながら「まだやってるよ!」なんて言っていたであろうことが想像できます。別に全国民が嵐ファンなわけもなく、彼らのコメントを全部知りたいわけでもないし、過去の映像が見たいわけでもない。そんな時、1局だけが大坂なおみのことをやっていれば、ガッポリと視聴率確保できたんじゃね? なんて思うのです。

 そして、別の話題を挟んで9:15ぐらいから嵐のことをやれば、この時間にようやくテレビを見られる人や、嵐のことをまだ見たい人、テニスに興味がない人を取り込めたし、他局の番組を見た上でのネットの反応や疑問を踏まえた内容を提供できたかもしれないのに、実にもったいない。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973(昭和48)年東京都生まれ。ネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』等。

まんきつ
1975(昭和50)年埼玉県生まれ。日本大学藝術学部卒。ブログ「まんしゅうきつこのオリモノわんだーらんど」で注目を浴び、漫画家、イラストレーターとして活躍。著書に『アル中ワンダーランド』(扶桑社)『ハルモヤさん』(新潮社)など。