新井浩文に損害賠償「5億円報道」の真実、民放キー局は泣き寝入りの悲劇

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類例は小出恵介に高畑裕太

 民放キー局の関係者は「損害賠償の報道が過熱しすぎでは」と言う。例えば女性自身(電子版)は2日、「新井浩文容疑者 事件の代償…損害賠償は5億円以上の可能性も」と報じた。

 記事は「CMの違約金、放送予定だった番組差し替えの費用、公開作品のDVD再編集にかかった費用」などが損害とし、見出しにあるように「5億円以上」と推計した。

 根拠は小出恵介(34)だ。17歳の女子高校生との淫行が報道されたことなどから、18年6月に事務所との契約を終了。小出の個人事務所は特別清算となり、負債額が約5億3000万円だった。ここから女性自身は「5億円以上」の金額をはじき出したのだ。

 根拠は示されていないが、日刊スポーツ(電子版)は8日に「新井容疑者の損害賠償5億円超も 再撮影やお蔵入り」と報じた。

 だが先のキー局関係者は「CMや映画、そしてNHKは損害賠償を求められるかもしれませんが、民放キー局は泣き寝入りする可能性が高いと思います」と意外な話をする。

「CM業界と異なり、民放は出演者と契約書さえ結んでいないケースが少なくないからです。私が関わった番組では皆無でした。口約束で出演交渉を行い、OKをもらうと撮影です。放送された時点でも、契約書は取り交わしていません」

 民放キー局の慣行では、「放送が無事に終了してからギャラを決める」のだ。そのため出演料の交渉で揉めると、半年も1年も支払われないことは珍しくないという。

「損害賠償を請求しようにも、契約書が存在しないのですから、法的根拠がありません。もちろん民事訴訟を起こすことはできますが、時間と手間を考えれば現実的ではないでしょう。損害を泣き寝入りした実例もあります、強姦致傷の容疑で逮捕された高畑裕太さん(25)のケースです」(同・関係者)

 高畑は16年8月23日、前橋市内にあるビジネスホテルの女性従業員に性的暴行を加えたとして、強姦致傷容疑で群馬県警に逮捕された。ところが高畑は8月27日と28日、日本テレビ系列で「24時間テレビ」に出演する予定だったのだ。

「生放送ですから、単に高畑さんが映らないだけだと思う方も多いでしょう。ところが、番組は全て事前に段取りが組まれています。だからこそ高畑さんは、番宣や事前番組に出演し、『本番当日は、こんなことをやります』とPRできるわけです。その全てが白紙になるのです。つまり高畑さんが出演しないということは、番組をイチから作り直すことと同義なのです」(同・関係者)

 更に高畑は俳優としても「24時間テレビ」のスペシャルドラマに出演していた。もちろん、こちらは録画だ。

「日テレは何と4日弱の時間で、高畑さんの代役を立て、ドラマを撮り直しました。それでもポスターだけは間に合わず、高畑さんの部分に番組のロゴマークを貼るなどして凌ぎました。日テレはかなりの大損害を被ったのですが、最終的に泣き寝入りせざるを得ませんでした。高畑さん本人にも、お母さんの高畑淳子(64)さんにも一切、請求していません。理由は契約書が存在しないということに尽きます」(同・関係者)

 CM、映画、NHKの場合は、契約書をしっかり結ぶことで知られる。NHKの上田良一会長は7日に定例会見を開いたが、記者から損賠賠償を問われると、「検討している」と回答した。こちらは契約書があるのかもしれない。

「最近、テレビ業界では有料の動画配信サービスにも力を入れています。契約書の重要性が増しているので、撮影前に文書で取り決めを結ぶ文化が根付いてくるかもしれません。その時はもちろん、CM業界などを参考に、損害買収の規定も記載されると思います」(同・関係者)

 新井容疑者は1月25日、Twitterで「映画大好きなすすきの夜の蝶に『お仕事何しているんですか?』」と訊かれたことを明かしている。このまま“お蔵入り”が常態化してしまえば、本当に人々の記憶から新井浩文が消えてしまうことになるだろう。

週刊新潮WEB取材班

2019年2月13日掲載

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