「夢の治療薬」治験失敗で… 「東証マザーズ」暴落の阿鼻叫喚

企業・業界週刊新潮 2019年2月14日号掲載

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 脳梗塞で倒れた人が車椅子から立ち上がり、アルツハイマー病患者も記憶を取り戻す。そんな夢の治療薬が出来ると株主は信じていたに違いない。「サンバイオ」(東証マザーズ上場)が開発しているのは、脳の神経細胞を再生させる特効薬だ。

 ところが、期待が裏切られたのは1月30日のこと。1万2千円近くまで上がっていた同社の株は寄り付きから4日連続のストップ安(2月4日時点)。新興企業中心のマザーズは個人投資家が多い。数千万円の資産を溶かしたうえに、証券会社から追証を求められるケースも続出している。

 暴落の理由は、29日の夕方に同社が行った発表だ。新薬候補「SB623」の治験(フェーズ2b)で「主要評価項目」を達成できなかった、つまり、薬効が確認できなかったのだ。

 同社と提携していた大日本住友製薬もストップ安をつけ、バイオ銘柄は軒並み下落。マザーズ指数も8%超急落したことから“サンバイオショック”と呼ばれたのである。かように兜町を揺るがせたサンバイオとは、どんな素性の会社なのか。

 証券会社の幹部が言う。

「サンバイオは、コンサルタント会社出身の川西徹氏(会長)と、キリンビール出身の森敬太氏(社長)が米国で創業した会社です。サルの脳神経細胞の再生に成功した慶応大学の研究者を口説き落として事業化に持ち込み、2015年にはマザーズに上場。CBSテレビで取り上げられたり、米カリフォルニア州再生医療機構から補助金を獲得したことから一気に注目を浴びるようになったのです」

 さらに、昨年11月、同社は治験の「フェーズ2」(外傷性脳損傷対象)を成功させたと発表。合わせて来期(2020年1月期)の承認申請を目指すとしたことから、株価はさらにヒートアップ。時価総額はメルカリを大幅に上回る5700億円以上に膨れ上がり、筆頭株主の川西氏の個人資産は一時、約1400億円に。森氏も資産700億円の“バイオ長者”に躍り出た。

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