早稲田、上智、ICU… 流行りの「グローバル学部」選ぶならどこがお得か?

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学部研究が必須

「人気が高い国際系、グローバル系学部ですが、そのカリキュラムは文系から理系まで、多様な分野を網羅しているので、学部の名称だけでは、そこで学ぶ内容が判断しにくいのです」

 と指摘するのは、東進を運営するナガセの市村秀二広報部長。石原氏が、さらに具体的に説明する。

「かつては留学先といえば欧米でしたが、いまはシンガポール国立大学や中国の大学など、高度な学問を学べるエリアが広がりました。日本の将来にとっても東南アジアは重要なエリアなので、大学側もそれを念頭に、いろんなエリアを選択肢に入れている。国際系の学部は留学を推奨しているところが多いですが、どのエリアの大学と提携し、どういうカリキュラムを設けているのかをチェックすることは大事です」

 そして付け加える。

「偏差値だけで選ぶと、自分がやりたいことと方向が違う大学を選んでしまいかねません。高校時代に興味を持ったエリアとのミスマッチがないほうがいい」

 安田氏も指摘する。

「国際系の学部はハードなものとソフトなものの二つに分類できます。前者は早稲田の国際教養や法政のグローバル教養のように、授業がほぼ英語というもので、後者は、英語の授業が多いけど日本語での授業もあるというもの。早稲田の国際教養は設立当初、すべての授業が英語とは知らずに入学し、困った学生もいたとか。また、偏差値があまり高くない受験生は英語が苦手なことが多い。国際系をめざしても、入学後に大変な目に遭いかねません」

 学部研究が必須だというのである。

英語を、でなく英語で学ぶ

 先にも触れたが、ブームの火つけ役といえるのが早稲田の国際教養学部で、

「グローバルを前面に押し出し、広く一般教養的なものを学び、英語によるコミュニケーションを習得して、外国の文化も学ぶ、という学部はそれまでありませんでした。立教の異文化コミュニケーション学部、明治の国際日本学部も、同様のアプローチです」

 と、駿台の石原氏。早稲田の国際教養学部について、ナガセの市村氏にもう少し掘り下げてもらう。

「少人数のディスカッション型授業が重視され、考える力が養われます。“英語で学ぶ”ことが目的とされ、学生4人の英会話レッスン、英文レポート作成など、実践力重視の授業が多く開講。1年間の海外留学が必修で、留学先もコロンビア大、オックスフォード大、ロンドン大など一流大学ばかり。より高いレベルで学びたい人には最適な環境です」

 また、ハードサイエンスから舞台芸術まで七つの分野から科目を自由に選択でき、22言語のなかから第2、第3言語を学べるという。

 先の小林氏は、

「以前なら上智や東京外語をめざした層が、早稲田の国際教養に流れた」

 と推し量るが、上智はどうか。石原氏が言う。

「外国語学部は国際やグローバルとつく学部にくらべると、人気が落ちています。保護者世代には、外国語というと語学の先生か翻訳家になるイメージで、広がりがないと感じられるようです。でも中身は変わってきていて、国際系の学部に近いことをやっています」

 また、上智は14年に総合グローバル学部を新設している。ここでは、国際関係論と地域研究という二つの“系”を設け、それぞれの下に二つずつ“領域”を用意。学生は四つの領域から一つをメジャーとして、もう一つをマイナーもしくはサブメジャーとして選ぶという。留学は必須ではなく、安田氏の言う「ソフトなもの」に分類されそうだ。

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