「石田純一」「加勢大周」が今だから語れる「トレンディドラマ」の舞台裏

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 優雅に暮らして恋愛を謳歌する。バブルに浮かれた平成初期、若者たちはトレンディドラマと、それが描く世界に憧れた。トレンディ俳優の代表格だった石田純一(65)と、トレンディ御三家の一人だった加勢大周が(49)が、あのころ圧倒的な影響力を誇ったドラマを、あらゆる角度から振り返った。

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石田 トレンディドラマはブームの下地として、ユーミン、桑田圭祐さん、山下達郎さんの音楽が欠かせなかった思います。なかでもユーミン。彼女の音楽に代表される「みんなで素敵な恋をしたいね」「素敵な20代、30代を送りたいね」という感覚が、トレンディドラマにつながったんです。

 それから、フジテレビの河毛俊作ディレクター。粋な人で、食にも音楽にもファッションにも精通していて、彼が自分の考えていることをスッとドラマにしたらトレンディドラマができた、っていうところがあるんですよね。たとえば、エキストラに外国人を呼んできたり、挿入歌にイタリアの歌謡曲を使ったりするんですよ。

加勢 河毛さんのような粋な人がトレンディドラマに関わった結果、石田さんがドラマにお出になって、僕らの世代はそれを高校時代に見て、「ああ、カッコいいな」と憧れていたんです。僕はそれから何年かして芸能界に入ったんですけど、自分がかつて憧れていたドラマの世界に入れて、本当に楽しかった。石田さん世代がトレンディドラマで活躍していた1980年代終わりは、世間がバブルに狂っていた時代ですね。

石田 加勢君は僕らの次の世代の先頭ランナーですよね。ところで、バブルってその後はあまりいいイメージがないけど、当時はめっちゃ楽しかった。ただ、あのころの若い子たちは木曜、金曜の夜は遊びに出かけてドラマなんか見ないから、六本木や西麻布に遊びに繰り出す連中を、どうやってドラマに引っ張るかを考える必要がありました。

 最初のトレンディドラマは、88年1月に始まった「君の瞳をタイホする!」ですね。陣内孝則さん、三上博史さん、浅野ゆう子さん、柳葉敏郎さんらが出ていて、すごい来てるなぁ、と思いました。次に「抱きしめたい!」が同じ年の7月に始まって、僕も出たんですけど、陣内孝則さんも、その次にオファーした加藤雅也さんも諸事情からダメで、それで僕に話がきたんです。

 実を言うと、そのころ僕は所属していた事務所の社長を継いでくれと言われて、役者は9月までしかやらないことになっていて、だから、「抱きしめたい!」が俳優としてのキャリア最後のつもりでいたんです。ところが、まだこうして続いていますからね。ただ、視聴率30%、40%というヒットは次の世代でした。

加勢 でも、そのころになるとトレンディドラマというより、ジョット・コースター・ドラマ。ストーリーが急激に変わっていくドラマという印象ですけどね。

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