サウジ戦の会見、中東記者から「日本は力を出せなかった」の質問に森保監督は……

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森保監督の会見を詳報リポート

 試合後の感想を聞かれた森保一監督は、次のように控えめに述べた。「この決勝トーナメント、ノックアウトステージで、まずは勝つということが非常に重要だと思います」

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 UAE(アラブ首長国連邦)で開催中のアジアカップ2019の決勝トーナメント1回戦でサウジアラビアと対戦した日本は、前半20分に左CKから冨安健洋がヘッドで決めた代表初ゴールを守り、1-0で難敵を下した。

 8大会連続でベスト8に進出した日本は、準々決勝でベトナムと24日に対戦する。

 日本のボール保持率は23・7パーセント。シュート数も5対15とサウジに圧倒された。近年の代表の試合で、これだけボール保持率で劣勢に立たされた試合は、ロシアW杯でもなかった。

 それでも次のラウンドに勝ち進んだのは日本だった。会見に臨んだ森保監督は次戦への意気込みを、次のように語った。

「アジアのトップクラスのようなサウジアラビアに選手は粘り強くタフに戦ってくれて、無失点に抑えて、勝つことができて本当によかったと思います。中2日の戦いに次もなりますが、相手より準備期間、回復期間が短いなか、我々は最善の準備をして次の試合も勝てるようにしたいです」

 ただ、勝利こそ収めたが、90分間を通じて試合を支配したのはサウジだった。その点を中東の記者は次のように質問した。

「まずは勝利おめでとうございます。サウジアラビアの方がいいプレーをしていたけれど、得点ができなかったというふうに感じています。そしてここからが質問です。日本はこれまでの試合に比べてそれほど今日は力を出せなかったと感じているのですけど、それはどういったところでしょうか」

 このストレートな質問に対し、森保監督はサウジアラビアの力を認めつつ、試合の流れとして劣勢になりながらも健闘した選手を讃えた。

「サウジアラビアは非常に力のあるチームだということ。そこは彼らをリスペクトするところはしないといけない。我々ももっと攻撃を仕掛けるという部分、ボールを保持するというところをできればよかったのですが、先制して、相手を押し込む状況のなか、粘り強く無失点に抑えながら追加点を奪いに行くということ。そこは試合の流れとしてノーマルな部分と思いますので、今日の結果として、戦いの流れとして粘り強く戦うことがこのトーナメントのなかで必要だということで選手たちはやってくれたことをポジティブに考えつつ、またさらに攻撃の部分の目標としています」

 正直に試合を振り返っているものの、どこか歯切れの悪さを感じてしまう。「先制して」も「相手を押し込む状況」ではなかった。ただし「粘り強く無失点に抑えながら追加点を奪いに行く」姿勢は鮮明に打ち出していた。

 すると日本人の記者が角度を変えて次のように質問する。

「グループリーグの3試合が終わったときに、コンディションがどんどん上がっていると昨日おっしゃっていたんですけれど、今日やってさらに上がったと感じられるのか。そのへんはいかがでしょう」

 これに対し森保監督は「コンディションは上がっている」と断言。最後までサウジにゴールを許さなかった守備面で成果があったと強調した。

「コンディション的にはチームとして上がっていると思いますし、今日試合を見られた方々は攻撃の部分でもっとできるという見方もあるかと思いますが、コンディションが上がってきているからこそ、あれだけ押し込まれても粘り強い守備ができたのかというふうに思っています」

 そう言うと森保監督は思いかけず「ふっ」と吐息を漏らし、一瞬安堵したかのような笑みを見せた。

 指揮官が指摘したように、粘り強い守備は賞賛に値する。前半12分、アブドゥルアジズ・アルビシのボレーシュートは吉田麻也が顔面でブロック。前半43分には右クロスを冨安が好判断でカバーしてクリア。さらに後半8分にはサウジのスルーパスを遠藤航がインターセプトして決定機を許さない。

 他にも原口元気は攻守にハードワークしただけでなく、自陣ゴール前でサウジのクロスをヘッドで弾き返した。さらに後半42分にカウンターからサウジが立て続けに放った3本のシュートは、いずれも守備に入った選手が身体でブロックしてゴールを死守した。

 そんな試合展開について、続けて日本人記者は森保監督に次のようにゲームプランを聞いた。

「試合前のゲームプランとして、元々サウジはボールを持てるチームだということはご存じだったと思うのですが、これほど押し込まれる、むしろ引いて守っているようにも見えたのですが、押し込まれるゲームプランを立てて臨まれたのか、それとも、もうちょっと攻めに出たかったけれどサウジの圧力が強くてああいう、かなり攻め込まれる状況になったのか、ゲームプランを教えて下さい。あともう一つ、セットプレーが狙い目だったと思うのですが、あのゴールはある程度狙い通りのゴールだったのか教えて下さい」

 これに対し森保監督の答は次のようなものだった。

「試合の入りを振り返っていただければ、我々がどういう戦いをしたかったのかというのは見えてくると思います。相手にプレッシャーをかけて、ボールを運ぶというところ、前線もアグレッシブにプレスをかけるというところ、選手たちはいい入りをしてくれたと思いますけど、サウジアラビアの攻撃を受ける形になってしまったということになったと思います」

 森保監督は、「サウジアラビアはボールを保持しながら危険な攻撃を仕掛けてくるチームだということは分かっていました」とし、「日本はサウジにうまく対応しながら、攻撃につなげられるはず」と事前に予測していたことを明かした。

「特に先制点を奪ってからは、彼らが圧力をかけてきたときに、後半はなかなか形ができなかったかもしれないですけど、奪って展開して、サイドからクロス、あるいはボールを奪って素早い攻撃を仕掛けるというところ、前半の部分でありましたし、後半も多くはなかったですけど、リードしてからの戦い方ということはゲームプレーかどうかわからないですけど試合の流れとして選手たちが表現してくれたかなと思います」

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