就職先がこんなに違う「早稲田」と「慶應」の文学部 “マイペース”vs.“ブランド指向”違いが浮き彫りに

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慶應のブランド志向

 早慶の違いをもう少し掘り下げてみよう。

「早慶に多くが入学する進学校の出身者は、“早慶それぞれの進学者同士で大学の話をすると、校風がこんなに違うとは思わなかった、という感想の人が多い”と言います。早稲田はなんでも受け入れる気質がありますが、慶應は同調圧力が苦手なタイプは、居場所がないかもしれません」

 と語るのは、『早稲田と慶應の研究』の著者でライターのオバタカズユキ氏。気質の違いは、就職活動で覿面(てきめん)に現れるようだ。

「企業の人事に聞くと“早稲田にはたまに当たりがいるけど、外れも多い。慶應は当たりもないけど、外れがない”と言います。実際、就職活動に対する学生の意識は、慶應のほうが断然高く、就活を始める時期も早い。“慶應病”という言葉もあって、業界を問わずトップ企業ばかり受けて全落ちするというブランド志向を指すんです。早稲田はもう少し幅が広い」

 その結果か、18年の文学部の就職先は、慶應は多い順に、みずほ銀行、三菱UFJ銀行、全日空、三井住友海上火災保険など錚々たる企業名が並ぶ。一方、早稲田は東京23区職員、富士通、東京都、ゆうちょ銀行……。かなり毛色が違う。

「慶應の就職におけるブランド志向は文学部生も変わりません。世間から“すごい”と言われる業界トップ企業や超有名企業に入りたがって、そのための縦のつながりが三田のゼミ中心に存在する。“ふうん”と流されてしまう地方公務員は、あまり志望しません。対して早稲田の文学部は、学内でも就職意識が低く、周囲の就活が進んでから“企業研究でもやるか”と腰を上げる学生が多い」(同)

 大学通信常務取締役の安田賢治氏も、

「企業は学部を見て学生を選ぶわけではないそうです。それでも文学部の学生の就活が振るわないのは、就活に対する意識が低い人が多く、動き出す時期が遅いからのようです」

 と話す。オバタ氏が、

「地方公務員が多いのは、自分の時間や趣味を優先していきたい人が、少なからずいるからでしょう」

 と言うように、マイペースな点は早稲田のよさだろうが、世知辛いこのご時世、慶應が選ばれるのもわかる。早稲田はかつての人気を回復しうるのか。

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