就職先がこんなに違う「早稲田」と「慶應」の文学部 “マイペース”vs.“ブランド指向”違いが浮き彫りに

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「早稲田vs.慶應」進学するならどっち?(4)

 早稲田大学よりも慶應義塾大学が人気なのは、人文科学系の学部でも同じ状況のようだ。早稲田の文学部と文化構想学部、そして慶應の文学部それぞれの特徴を前回ご紹介したが、学内の状況に関しては、学生こそが生々しい体験をしているはずだ。昨年、4年の学業を全うしたばかりの数人に聞いた。

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 まず、早稲田の文学部心理学コースのOBは、

「2年進級時にコースを選択しますが、希望のコースの志望者が定員を超えたら、1年次の成績をもとに選考が行われます。人気があったのは日本語日本文学や社会学。私が進んだ心理学コースは、課題が多いという噂が流れ、人気が落ち着きつつありました。3年からのゼミは1学年10人程度の少人数でした」

 文化構想学部との違いは、

「ほとんど感じません。多くが両学部を併願していて、両方に受かれば、学びたいことに近いほうに進みます。演劇やジャーナリズムなど今風のことを学べるからなのか、文構のほうが若干派手な感じはしました」

 文化構想学部の側から眺めるとどうか。文芸・ジャーナリズム論系のOBの話。

「文学部はコースが決れば一つのことをするので専門性が身につきますが、文構は幅広くなんでもやれるので、いろいろ知っているけど詳しくない人になりがちです。映画やパフォーマンスも学べますが、自分でもそういう表現がしたい人が多いのも特徴です。人気の論系は多元文化、表象・メディアなど。周囲はIT系やWEB広告業界に進んだ人が多かったですね」

慶應文の仲間意識

 慶應の文学部はどうか。仏文学専攻のOBが言う。

「2年に進級するとき専攻を選択し、定員を超えると専攻ごとに参考試験が行われます。筆記試験や、進級時に研究したい内容を書いたレポートの提出などです。人気の専攻は社会学、人間科学、教育学、心理学のほか美学美術史学、国文学などですが、希望者は多くても定員の1・5倍くらいでした。2年次にキャンパスも日吉から三田に移りますが、仏文学専攻は少人数だったので、2年からフランス語を集中的に読む演習などがありました」

 別の角度からの比較も。

「イケイケの人が目立つ法学部や経済学部とくらべると、文学部生は小さくまとまっている人が多い。また、ゼミ以外の先生との距離も他学部より近く、仲間意識が強い。私は早稲田も受かったけど、入試問題の大半がマークシート方式。こんな試験で判断されたくなくて慶應を選びました」

 ちなみに、早稲田は2021年の入試から全学部共通で、WEB出願時に、主体性、多様性、協働性に関する経験の記入を義務づけるなど、入試を改革する姿勢を示してはいるが。

 最後に、早稲田の教育学部教育心理学専修OBの話。

「教育学部は受験時に専攻が決まっていて、私の専修は高校時代に教育心理を学ぼうと決めていた変わり者が多かった。1、2年次は基礎教育ですが、専修の人数が少ないため小規模の授業も結構ありますね。教員志望者は多いけど教職課程は負担が重く、途中でやめてしまう人も多いです」

 ちなみに、私大は経済的負担が重いと躊躇する家庭に向けて、返済義務がない給付型の奨学金が充実している点において、早慶に開きはない。1都3県以外の高校出身者には、早稲田は「家計の事情で」進学を断念しないように、「めざせ! 都の西北奨学金」を約1200人分用意。慶應にも「両親の合計収入が1千万円未満」の受験生550名以上のために、「学問のすゝめ奨学金」がある。

 1都3県が対象外でない奨学金も、それぞれ数百人分は用意されている。

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