14年ぶりに「箱根」を走った東大生ランナー 本人語る“4度目の正直”

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 新春の箱根路を、14年ぶりに東大生ランナーが駆け抜けた。工学部化学生命工学科の4年、近藤秀一選手だ。つないだのは東大ではなく関東学生連合チームの襷(たすき)だったが、その舞台に立つまでの道のりは、箱根路よりも起伏に富んでいる。

 1月2日の往路は、読売新聞社前から芦ノ湖駐車場までの107・5キロ。鶴見中継所まで21・3キロの1区を任された近藤選手は23チーム中22番目だった。

 彼はこの数年、メディアや箱根駅伝ファンから注目されてきた存在だ。東大に身を置きながらも、箱根駅伝で各校のエース級と争える走力を備えている。この点への関心が一番高い。そして、一昨年の東京マラソンでは2時間14分13秒を叩き出していた。それなのに、今年まで一度も箱根に出場できていない――。

 近藤選手が“所属”する関東学連チームは、予選会の結果、出場を逃した大学の上位16人で構成される。箱根駅伝は10区だから、16人のうち10人が箱根路を走り、6人は補欠だ。

 彼の4年間は不運続きだった。1年時に関東学連のメンバー入りしたが、予選会11位で補欠。2年時は10番目だったものの、別の選考会での記録を考慮されて外された。やっと1区を勝ち取った3年時は、レース前にインフルエンザにかかり、涙をのんだ。今回が“4度目の正直”だったのだ。近藤選手が振り返る。

「箱根を目指して頑張ってきたのですが、なかなか手が届きませんでした。今年はようやく掴んだチャンスだったので、かける思いは強かったです」

 東大生ランナーとしても、2005年の松本翔選手以来、14年ぶり。そんな世間の興味も、自覚していた。

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