「ひふみん」独占インタビュー 無冠「羽生善治」と躍進「藤井聡太」の今後を読む

国内2019年1月18日掲載

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秀才型の天才は羽生さんと聡太

 われわれの世界では、作戦を切り替えて成功した人といえば、代表的なのは大山康晴名人。居飛車の達人だったのを、振り飛車に変えてずっと勝ってきた。私の印象では、広瀬さんは作戦を切り替えて成功した第二の棋士ということになりますね。

 羽生さんはレパートリーが広いです。私とか大山名人は、得意な作戦が、まあ多くて2つ。羽生さんは若いころから得意な作戦が5つくらいあります。クラシック音楽でいうと、レパートリーの多い作曲家です。私が思うに、羽生さんは秀才型の天才。彼は若いころからよく研究して戦ってきた。羽生さんと私はだいぶ年が離れていますけれども、最初の頃の対戦では私の実戦譜を研究したうえで、新しいアイデアをぶつけて戦ってきてね。最初の10局くらいはそうだったんです。羽生さんは研究家。よく研究しているから、秀才型なんです。

 天才には2通りあって、私も大山名人も天才と呼ばれたけれど、必要に応じてするタイプ。羽生さんはコンスタントに研究している。それは今の藤井聡太にも共通する。秀才型の天才は羽生さんと聡太ですよ。いえ、聡太は今は“秀才”。タイトル獲ったら天才と言ってあげようと思います。人生論でも2通りありますね。将棋だけで一生戦い抜く人がいるし、他に趣味がある人もいる。私なんかはクラシック音楽が好き、とかね。本だったら、新潮社さんの、高橋健二先生の「グリム兄弟」。大好きだったの。高橋健二先生は将棋ファンで……

――ここで話はしばし脱線。アニメーション番組もお好きなひふみんは、昨年NHKのアニメで声優デビューしたこと、将棋界には音楽好きが多いことなどなどを語る。「谷川浩司さんとか、佐藤天彦名人とか、好きなのね」。カラオケ好きの棋士も多く、そういえば羽生さんも歌が好きらしい、とお喋りがつづいたところで、本筋へ。

 あ、結論としては羽生さんが今後100タイトルをとる可能性があるかというと、可能性は大いにあるとおもいます。年齢はまだ48。ちょっと年齢確かめてみてください。まだまだ全盛期だと思います。大山名人は48歳で全タイトルを失ったんですね。大山名人は、タイトルをなくした後、王将になったり挑戦者になったりしたんですよ。そういう先例がありますから、羽生さんもまだタイトルを獲ることが大いに可能だと思っています。ちなみに私は60歳でA級でした。棋士は健康第一ですよね。私もかなりの年齢で病気をしましたが、ある年齢までは風邪を引いて戦ったことは一度も……

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