「福田淳一」前財務次官を救った「弁護士資格認定制度」

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辞任の時点で…

「セクハラ騒動のあとの日々を勉強に費やせたので、彼はこの制度に救われた格好だと思いますけど……」

 ある省庁のキャリア官僚が、こう打ち明ける。

「私は“いま弁護士になんてなったら、セクハラ騒動が蒸し返される。やめたほうがいいんじゃないか”と言いました。制度の基準にもケチがつきかねませんし、辞任と認定申請の日どりがあまりに近かったものですから。しかし彼は、“いや、やる”と頑なでした」

 振り返れば、セクハラ財務次官の辞任発表は4月18日、閣議での辞任了承は4月24日だった。一方の認定制度は、予備審査は5月2日締切で、認定申請が5月18日の締切。

 だから、辞任の時点で申請する腹づもりだったのは確定的だ。“オレには、東大在学中にとった上等な杵柄、司法試験合格があるじゃないか”。騒動の渦中、この一念で耐えていたのではないかと思われる。

 つまり、大蔵官僚として過ごした三十有余年が、要件に当てはまったわけである。先の官僚曰く、“福田弁護士”を顧問に、という企業がいくつかあるという。

 そういえば、接待汚職で大蔵省を去った、当時の長野厖士(あつし)証券局長や杉井孝銀行局審議官も弁護士になっていた。大蔵省、財務省でキズモノになっても、まだ民間では使い所がある。高級官僚たる所以である。

 その官僚や公務員制度に詳しいジャーナリストの若林亜紀氏が、“福田弁護士”へ向けて一言。

「セクハラやパワハラの意識が高まっている昨今です。企業の顧問弁護士ともなると、社内のセクハラ問題に助言することが考えられるわけです。そもそも、法の知識があるにもかかわらずセクハラを行ったうえ、その対応も下手をうった方が弁護士になるのは不適切だと思います」

 いっそ、“セクハラ加害者専門”を看板に掲げるのも手か――。

週刊新潮 2019年1月17日号掲載

ワイド特集「胡乱な賀詞交換会」より

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