JRAがルールを変えても勝たせたい客寄せパンダ「藤田菜七子」

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「押し問答になる」と

 ちなみに、斤量1キロはレースで1馬身に相当するとも言われる。デビュー以来、JRAは何かにつけ藤田を“客寄せパンダ”のごとく仕立て上げてきたわけだが、引き続き温存しようということか。先の記者が続けて、

「それも致し方ありません。何しろ彼女のおかげで、ファンは実力に関係なく馬券を買う。それは地方競馬でも同じで、デビュー直後に参戦した金沢競馬は前年比1・7倍となる3億6千万円を売り上げ、また盛岡競馬では集客が3倍になりました。実際に今回、JRAは『(藤田の活躍で)興行的にも大きな効果を感じている』と認めているほどです」

 と言うから、妬まれないほうが不思議である。あらためてJRAに尋ねると、

「私どもが藤田騎手を育てているわけではなく、彼女を意識したルール改正でもない。『JRAの目玉にしたいのでは』と言われても、押し問答になるだけなので……」

 そう言葉を濁すばかり。競馬ジャーナリストの片山良三氏が言う。

「現行のルールでは、5年経つと藤田の優遇はゼロになってしまう。その時、新ルールによって男の騎手より2キロ軽く戦えるとなれば、馬主への提案として十分な説得力を持つ。そうした理由づけが、今回の最大の意味合いなのです」

 百年ならぬ「五年の計」を見据えていたというわけか。

週刊新潮 2018年12月13日号掲載

ワイド特集「色即是空の年忘れ」より

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