いびつな資本関係 「日産」と「ルノー」対等になるのはいつの日か

ビジネス 企業・業界

  • ブックマーク

Advertisement

 抵抗のためにはここまでするのか。今月1日、マクロン大統領が、安倍首相に会談を申し込み、現在の日産とルノーとの関係の“現状維持”を求めたのだ。

 周知の通り、日産とルノーの資本関係は歪(いびつ)。日産がルノー株を15%しか所有していないのに対し、ルノーは日産の43%の株を持つ圧倒的な筆頭株主だ。

 経済部デスクが言う。

「日産は売上高が大きいにもかかわらず、格下のルノーに経営を支配されている。そのルノーの筆頭株主はフランス政府ですから、日産はフランスに搾取されているとも言える。ゴーンの逮捕を機に、日産はこの関係を解消しようとしています」

 大統領は、それを阻止せん、と動いたのだ。

「日産の方法は二つです」

 と、先のデスクが続ける。

「一つはルノーの株を買い増し、ルノー本体への影響力を高める。もう一つは日産自らが増資し、ルノー株を希薄化することです」

 しかし、どちらも実現には高い壁があるという。

「株の買い増しは敵対的な買収ですから、国を挙げての激しい反発が予想されます。それを無視して突っ走れるのか。増資に至っては、そもそも筆頭株主のルノーが頷くはずがありません」

 日産の敵は、決してゴーンにとどまらないのである。

週刊新潮 2018年12月13日号掲載

特集「『日仏戦争』に発展した 『カルロス・ゴーン』未だ解けない七つの謎」より

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。