臨床心理士と“被る” 公認心理師 2・8万人誕生、その使命

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 現在、二百二十余ある国家資格に、新たな一つが加わった。11月30日に合格者が発表された厚生労働省と文部科学省共管の「公認心理師」だ。9月に3万5020人が受験し、2万7876人が合格した。合格率は79・6%と、弁護士の29・1%、税理士の15・8%などに比べれば、かなり“広き門“といえようか。今後も年1回、試験が行われる。

 この資格で何ができるかというと、病院や学校、福祉事務所などで心理査定、カウンセリング、指導などに、“専門的知識と技術を持つ者“として携われるようになる。

 治療に当ることはできないが、れっきとした専門職だ。年間2万人を超す自殺者、あるいは学校でのイジメ問題と「心のケア」が求められる中、こうした専門職への需要が高まっているのだ。

 報酬は、各分野で異なるものの国家資格者として一定の額は保証されよう。兼務もでき、“おいしい“資格である。

「それにしても、合格者の3万人近い数字は、少し多すぎる気がしますね」

 とは、さる全国紙記者。

「この資格、実は一つ大きな問題があるんです。これまであった民間資格の『臨床心理士』の職種とほぼ“被る“こと。全国に臨床心理士の資格を持つ者が今、約3万5千人います。それには、まだ及びませんが……」

 臨床心理士と公認心理師、両者の違いは資格要件など細かい点はあれど、基本的には公認先が民間か国家かの違いだけ。厚労省もその辺は苦慮しており、名称を心理“師“と、資格者を表す“士“の字を使わず、差別化に気を遣う。

「ただ趨勢として、臨床心理士は廃れていくでしょうね。今回の合格者には心理士も大勢いたようです」(同)

 国家資格者としての活動は、来年春に始まる。

週刊新潮 2018年12月13日号掲載

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