ゴーン事件で激突 「特捜部長」vs.「元特捜部長」星取り考課表

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 捜査を主導する東京地検特捜部の森本宏部長(51)の前に立ちはだかるのは、大鶴基成弁護士(63)。既に知られるように、この方、今から十数年前には特捜部長を務めていたから、要は、新旧の部長対決となっているワケだ。

「森本さんは、イケイケドンドンの人」

 と言うのは、さる司法ジャーナリストである。

「感情型で沸点が低いですが、その“強気”で、昨年9月の就任以来、スパコン会社の助成金詐欺、リニア談合、文科省幹部の汚職など、大型案件を次々摘発してきました。証拠フロッピー改竄事件以来、眠ったようにおとなしくなっていた特捜部を復活させた、と評価する声もあります」

 そうしたタイプだけに性格も明るく、記者扱いにも長けているとか。

「事件は書かれてナンボとマスコミを利用する気が満々。趣味はマラソンで、月に1度、番記者たちと定例のランニング大会をしています。皇居を1周し、タイムを競うのですが、20歳ほど下の記者たちにもほとんど負けないそうです」(同)

 意欲を燃やすのは、「新たな判例を作る」こと。今回の「高額報酬隠し」の立件という、これまでにない捜査に挑んでみせたのも、この人ならではのことだという。

 他方、

「森本さんとは対照的な人ですよ」

 と先のジャーナリストが言うのが大鶴弁護士。

「鹿児島のラ・サール高校から東大法学部に進んだ典型的なエリートです。生真面目な人で、記者対応も冷たい。レクの際に、表情から感触を取られるのが嫌で、記者に背を向けながら話をしていた、というのは有名な話です。趣味はリコーダーで、部下の結婚式や仲間の飲み会などでよく披露していました」

 特捜部長時代は、ライブドア事件や村上ファンド事件など、こちらも大型案件を手がけた。ライブドア事件で粉飾決算を暴いたその道のプロが、今度はそれを守る側に回るのは、皮肉と言えば皮肉である。

「森本さんは、検察内部でも“将来の検事総長”と言われる有望株です。一方の大鶴さんは、特捜部長を務めた後、最高検検事として陸山会事件を指揮しました。しかし、捜査手法をめぐって上層部と対立が深まり、結局、定年まで7年を残して退職する憂き目に遭いました」(同)

 現役時代の考課表含め、何もかも対照的な2人の対決……星取りの行方はいかに。

週刊新潮 2018年12月13日号掲載

特集「『日仏戦争』に発展した 『カルロス・ゴーン』未だ解けない七つの謎」より

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