組織票削除「ゆるキャラGP」舞台裏 実行委は“高齢化の逃げ道にしないで”

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 書名のように「人は見た目が9割」なら、ゆるキャラは「見た目が10割」だろう。要はかわいいかどうか。ところが、ゆるキャラグランプリ(GP)で繰り広げられたのは、どこかの政党の組織動員も真っ青の、ゆるくない選挙戦だった。

 グランプリは埼玉県志木市の「カパル」。「あっ、そう」という程度の話のはずが、事前のネット投票で暫定1~3位を追い抜いての優勝だったので、怨嗟の声が沸き起こったのだ。

 あの「くまモン」が輩出したゆるキャラGP。今年は11月17、18日に東大阪市で開催されたが、その結果に、どうして「あっ、そう」では済まない人が多かったのか、まずは社会部記者の説明を聞こう。

「ネット投票では、複数の自治体がフリーアドレスで大量の投票用IDを取得している、と報じられ、批判が噴出。そこで実行委員会は“不正ID”からと思われる票を削除。暫定1~3位は、それぞれ数十万票を減らしたのです」

 4位「イヌナキン!」のお膝元の大阪府泉佐野市は、

「票の削除については、コメントを差し控えます」

 と言いながらも、

「100回以上のイベント出演を目標に毎週末大小の催しに参加、投票を呼びかけました。イヌナキン誕生に携わっていただいた『キン肉マン』作者のゆでたまご先生のご協力も仰ぎ、優勝したら『キン肉マン』にイヌナキンが登場することを公約に掲げるなど、熱心にPRしてきました」

 と悔しさを滲ませる。だが、2位の「ジャー坊」を担ぐ福岡県大牟田市の悲嘆は、こんなものではない。

「『妖怪ウォッチ』を開発した会社の社長とデザイナーが大牟田のご出身で、昨年の市制100周年に力を込めて作っていただいたので、ゆるい作りではありません。昨年GPに出場すると、商工会議所中心に選挙対策本部が立ち上がり、6位の好成績。来年はもっと頑張ろう、という話になって」

 で、今年は、

「ジャー坊応援実行委員会を立ち上げ、4月から400を超えるイベントに出演、投票を呼びかけ、近隣のゆるキャラを持たない自治体にも応援を仰ぎました。そしてネットができない高齢者の思いも届くように、市が1万のIDを発行、各地域にタブレットと一緒に配布したのです。IDを発行した意図はGP実行委員会に説明しましたが、票数は大きく削られ残念です」

 ちなみに、暫定1位から3位に退いた「こにゅうどうくん」の三重県四日市市が発行したIDは2万!

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