番組が絶対減らない「ダウンタウン」 おかげでテレビ業界は“負のスパイラル”状態!?

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ダウンタウンを必死で守る吉本幹部

 ここで2018年における、ゴールデンタイムの顔を確認しておきたい。ビデオリサーチが発表する「週間高世帯視聴率番組10」から、「11月12日(月)~11月18日(日)」のうち、ゴールデンタイムに放送されたバラエティ番組とドラマの視聴率ベスト10を作成してみた。全て関東地区の数字だ。

 やはり“お茶の間”は健在だ。お笑い芸人でも、好感度の高い面々ばかりなのは一目瞭然だろう。内村光良(54)、笑福亭鶴瓶(66)、所ジョージ(63)、タモリ(73)といったベテラン組はガツガツしたところがなく、視聴者に不快感を与えない。

 ダウンタウンの表に戻ってみれば、浜田雅功はピンのレギュラー番組なら依然としてゴールデンタイムを確保している。理由はシンプルだ。

 そもそも漫才のボケ役は、そのキャラクター上、司会が得意とはいえない。松本人志は「ワイドナショー」でも司会ではなく、コメンテーターという扱いだ。

 対してツッコミの浜田が、司会の技術に秀でているのは衆目の一致するところだ。アクは強いが、ベテラン司会業の腕前を、視聴者が支持しているということになる。

 ダウンタウンの“凋落”は、正直なところ、多くの芸人がが辿った道でもある。しかしながら、松本人志と浜田雅功が単にフェードアウトするだけなら、異論が出るはずもない。

 そうではなく、ダウンタウンの2人が深夜番組にも進出したことが問題のようなのだ。

「ダウンタウンのお二人のような大ベテランが深夜番組に出演するのは、正直、違和感があります。なぜなら、深夜番組は次にブレイクする若手芸人やタレントを起用するのがセオリーであり、それがテレビ界にとってプラスになるからです」(同・キー局社員)

 確かに、今年に終了して大きな話題を呼んだ「めちゃ×2イケてるッ!」(フジテレビ系列:96~18年)の前身は「めちゃ×2モテたいッ!」(95~96年)であり、土曜・23時30分からオンエアされていた。

 40代には懐かしい「はねるのトびら」(フジテレビ系列:01~12年)も月曜・午前25時35分からの30分番組としてスタートした。キングコング、ドランクドラゴン、ロバート、北陽、インパルスという若手コンビをメジャーにした役割を果たしたのはご存知の通りだ。

 深夜番組は、10年後、20年後のテレビ界を支えるための、才能を見つける場だという。高いギャラを稼げなくなったベテランの避難場所ではない。では何故、ダウンタウンの露出は減らないのか。

「若い頃、ダウンタウンのマネージャーを務めた吉本興業の社員は、その多くが出世し、今は役員などの幹部クラスです。彼らの“最重要ミッション”はダウンタウンの給料を下げないことですから、果敢に仕事を取ります。とある局の若手プロデューサーが深夜番組の企画でゴーサインをもらい、吉本所属の“人気若手芸人”にレギュラー出演の打診をすると、吉本側が『ダウンタウンは、いかがですか?』という返事が来たというのは、テレビ局の関係者なら知る人ぞ知るというエピソードです」(同・キー局社員)

 当初、30代の若手プロデューサーは面食らった。だが、子供の頃からダウンタウンを見て育ってきた。まさにダウンタウンは憧れの人。激しい競争を勝ち抜きぬいてテレビ局に入社し、遂に自分の番組を持てるところまで来た。

 すると吉本興業から「あのダウンタウン」と一緒に仕事をするチャンスを与えられたわけだ。有頂天にならないはずはない。だが、先のバラエティスタッフは「それが間違いです」と釘を刺す。

「いまや深夜番組は、テレビ界にとって貴重な20歳から34歳までの女性が見てくれる時間帯です。いわゆる“F1層”と呼ばれ、強い購買意欲を持っています。スポンサーにとってはCMを出稿すると効果が見込め、テレビ局としては文字通りの“お客さま”です。ところが彼女たちは、ダウンタウンを見ると『またオッサンが映ってる』としか思いません。すぐにチャンネルは変えられてしまいます」

 テレビ局の場合、たとえ視聴率が好調でも、視聴者層がスポンサーの希望する層と異なれば、打ち切りになるケースは決して珍しくないという。

 近年の具体例を挙げれば、「得する人損する人」(日本テレビ系列:17〜18年)だろう。前番組の「あのニュースで得する人損する人」(同:13~17年)から木曜・19時というゴールデンタイムに放送されていた。

 2番組を合わせて5年も続いたのだから、もちろん視聴率が悪かったわけではない。要するに、「CMを見て商品を買ってくれる」可能性の乏しい男性や高齢者層が視聴する番組だったわけだ。

「スポンサーのウケが悪いと、営業サイドの突きあげで番組は終了します。日テレ系列の『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』と『ダウンタウンDX』は、数字も良くない。もう終了してもいい番組です。あの番組を、20歳の女性が見るはずがありませんしね」(同・キー局社員)

 だが、吉本興業サイドが両番組の終了を認めることは、まずない。

「おまけに日テレでは、恒例となった大晦日の特番『笑ってはいけない』シリーズが高視聴率を稼いでいます。これが“人質”の役割を果たしてしまい、2番組は依然として放送されているというわけです」(同)

 低視聴率は吉本も把握しているが、彼らはダウンタウンの責任とは認めない。逆に「テレビ局の問題だ」と言いつのる。実際に「若手のスタッフに変えれば視聴率は上昇する」と主張し、人事が動いたことがあったという。

「結果は、ますます視聴率が下落するだけでした。逆なんです。ベテランのスタッフこそ、ダウンタウンの良さ、活かし方を熟知しています。ダウンタウンのお二人に遠慮なくアドバイスや指示もできる。昨年の『笑ってはいけない』では、浜田さんが黒塗りのメイクを披露し、視聴者から苦情が殺到しました。ベテランのスタッフなら誰もが『絶対にコンプライアンス上の問題になる』と判断し、ボツにしたはずです」

 先にゴールデンタイムの視聴率ベスト10を見ていただいたが、「行列のできる法律相談所」の東野幸治(51)、宮迫博之(48)、後藤輝基(44)の3人を除き、お笑い芸人は80年代と全く変わらない顔ぶれだ。

 司会としてレギュラー出演しているわけではないが、「世界まる見え!テレビ特捜部」ではビートたけし(71)、「行列のできる法律相談所」では明石家さんま(63)も、しっかり参加している。「ブラタモリ」のタモリと合わせ、“お笑いBIG3”は、いまだに健在なのだ。

「結局、ダウンタウンのお二人は、老若男女に愛される国民的スターにはなれなかった。だから視聴率が低迷し、吉本側は深夜番組などで“ゴリ押し”をする。だが、F1層を筆頭に若年層は視聴しない。さらに視聴率は下がる。若手が育つ場が減る。まさに負のスパイラルとしか言いようがありません」(同・キー局社員)

2018年12月3日掲載

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