王者「日テレ」は守りに入って視聴率に異変 凋落のフジテレビと酷似で危機到来か

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日曜枠への危惧

 さて、そんな日テレの今後はどうなるだろうか。

 前例は「イッテQ」の直前に放送している「ザ!鉄腕!DASH!!」(19:00~19:58)だ。5月初めにTOKIOの元メンバーの山口達也(46)が不祥事でグループを脱退して以降、同番組は視聴率が下がり続けている。17年の年間平均は17.1%あったが、今年6月以降の平均は14%台に留まる。

 どうやら日テレは、この問題でも十分に対応できていない。もともと視聴率を重視する局だったのだから、「ザ!鉄腕!DASH!!」でも大胆なテコ入れをすべきだったが、それが出来ずに半年になろうとしている。

 日曜夜は、この「ザ!鉄腕!DASH!!」「イッテQ」「行列のできる法律相談所」(21:00~21:54)の3時間が鉄板だ。17年の1年間、これら3番組の平均は17.4%にも及んでいた。日テレ独走の原動力だった。

 ところが今年6月以降、3番組とも数字を下げている。今年第4四半期は今のところ、17年平均より2.4%も低い。「ザ!鉄腕!DASH!!」ばかりか、「イッテQ」も事後処理を間違うと、下落幅はどんどん大きくなりかねない。

 重要なのは、個別の対症療法ではない。根本的に同局が時代とズレ始めているかも知れないという反省だ。2004年から7年連続3冠王となったフジテレビは、実は2006年がピークで、その後ズルズル視聴率を下げ、今日に至るまで反転攻勢できてない。11年に3冠の座から脱落するまでは、「“トップのジレンマ”ゆえに根本治療が出来なかった」と言っていた。ところがその後も正しい改善策がとれたとは思えない。フジの最も深刻な問題も、時代とのズレを修正できなかった点だ。
 
 日テレの現状は、当時のフジに酷似している。

 これまでの貯金があるため、今年中、あるいは今年度中に3冠を失うことはないかもしれない。ところが問題先送りの姿勢が最も致命的だ。多少の犠牲は覚悟の上で、守りを捨てて変化へ踏み出す。これが“終わりの始まり”に対する正しい対応だろう。

 同局の素早く正しい対応に期待したい。

メディア遊民(めでぃあゆうみん)
メディアアナリスト。テレビ局で長年番組制作や経営戦略などに携わった後、独立して”テレビ×デジタル”の分野でコンサルティングなどを行っている。群れるのを嫌い、座右の銘は「Independent」。番組愛は人一倍強いが、既得権益にしがみつく姿勢は嫌い。

週刊新潮WEB取材班

2018年11月28日掲載

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