することがない「渋谷ハロウィン」に仮装大賞の提案(中川淳一郎)

社会週刊新潮 2018年11月15日号掲載

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 今年も東京・渋谷では狂乱のハロウィンが展開されました。痴漢、盗撮、暴力沙汰に、軽トラックを寄ってたかって倒すバカなども登場し、「荒れる成人式」を愛するバカ的地獄絵図と化しました。近所の駐車場には遠方ナンバーの車が駐車。北関東の方からやってきた人々は終電を逃してなるものかと、21時台には湘南新宿ラインの宇都宮行き乗車を目指し、駅の便所でメイクを落とし普段着に戻して現実社会に帰っていくのでした。

 弊社で働くY嬢は渋谷在住のため、毎年「ハロウィン時の渋谷ウォッチャー」活動を趣味にしています。今年の特徴についてはこう語っていました。

「今年は外国人がむちゃくちゃ多かった。あの人達って骸骨とかゾンビメイクをガチでやるんだよね。さすがは本場の人」

 あと、スクランブル交差点近くの店の店員は「仮装の人は入らないでください」と日英併記したプラカードを掲げていたそうです。メイクやマスクをした人は顔がバレにくく万引きし放題ですからね。さらに着替えやメイク落としのために便所を長時間占拠されたらたまったものではない。

 また、警察沙汰になった軽トラックの件について彼女は、「中心となるものがないのが問題なのでは」と語ります。なにしろ、来ている人々は何をやったらいいのかが分からないのです。「いぇ〜」と仲間で集合写真を撮って、仮装している者同士、スクランブル交差点を走ってハイタッチをし、缶ビールでカンパーイ! おっ、外国人との記念撮影もインスタ映えするね! これらを何度かやったところで35分経過。はて、オレ達次は何をやればいいのだろうか……。

 何かハイライトが必要だ! えぇい、軽トラ倒しちゃおうぜ! 今夜は無礼講だ! なんてことになったのかもしれません。そこでY嬢はこう提案します。

「ダラダラと残ってロクなことしないのは、不完全燃焼感があるからなの。子供達だって何をしていいか分かってないから、親だって困惑していた。こうなったら『21時、はい、終了!』ってやればいいし、何か満足できるイベントを作ればいいの。そうしたら犯罪は起こらない」

 今年の夏は渋谷道玄坂商店街振興組合主催で今回と近いエリアで「第2回渋谷盆踊り」が開催されました。この時は、「盆踊り開催日時は7月21日(土)18:00〜21:30で、16:30〜22:30の間交通規制が行われます」とビシッと決められ、これに合わせて老若男女、国籍問わず皆が櫓を中心にレンタル和服を着て踊りまくったのです。

 コレです! 季節は変わり秋ですが、あの櫓を再び組み立て「渋谷仮装大賞」を実施するのです。日本テレビの「欽ちゃん&香取慎吾の全日本仮装大賞」の「渋谷特別大会」として実施。萩本欽一さんと香取さんも来て「開会宣言」「優勝者発表」をすればクライマックスは作ることができます。これでどうだ!

 ハッ、大事なことを忘れていた。商店街の組合からすればハロウィンなんて蛮行と混乱とゴミまみれなわけで、この日は忌々しくてさっさと終わってほしいと思っている人もいることでしょう。現状では街との一体感は難しいかも。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973(昭和48)年東京都生まれ。ネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』等。

まんしゅうきつこ
1975(昭和50)年埼玉県生まれ。日本大学藝術学部卒。ブログ「まんしゅうきつこのオリモノわんだーらんど」で注目を浴び、漫画家、イラストレーターとして活躍。著書に『アル中ワンダーランド』(扶桑社)『ハルモヤさん』(新潮社)など。