中山美穂 「黄昏流星群」出演で見え隠れするシンデレラ症候群

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 不倫はついに文化になった。と言いたくなるくらい、今年は各界での不倫のニュースだらけだった。石田純一の肩でも叩いてあげたいくらいだ。

 さて、その不倫を描いたドラマ「黄昏流星群~人生折り返し、恋をした」に出演中の中山美穂である。CG合成のスイス旅行、家族全員が不倫中、ご都合主義な展開、色々とツッコミどころはあるものの、中山の起用についても世間をにぎわせている。

 48歳ともなれば、容姿は変わる。しかし美人女優の誉れ高かった反動か、顔のむくみや険のある表情に対し、「劣化した」との声も多く上がっているようだ。なんとも酷な話だが、この嘲笑の裏には過去の離婚騒動が尾を引いている部分もあるだろう。

 2014年7月に作家の辻仁成と離婚した際、その前に別の男性とのデート報道が出たため、中山の不貞を理由とする批判の声は多かった。さらに息子がいたため、「子どもを捨てて男に走った」女性という悪印象は強かったように思われる。

 不倫、というニュースは数あれど、親権を手放し男性と一緒になった例はあまり聞かない。それは「子ども<男」という女性を世間は厳しく見るからだろう。親としての責任感より、自分の欲を優先したという軽蔑と嫌悪。離婚協議成立から1カ月後、「好きな人に出会いました」と公言し、その男と頬をよせあう中山のドヤ顔の写真は大きな批判を浴びた。一方、同じ時期に前夫である辻仁成の好感度は上がった。日本のバラエティに出演し始め、男手ひとつで子育てや料理に奮闘していることを明かしたからだ。当初は辻の中性的な見た目が離婚原因だと報じるメディアもあったが、彼の健気な姿は世間に訴えるものがあったに違いない。手のひらを返したように「悪いのは中山美穂だ」と風向きが変わった。辻のPR戦略勝ちというべきか。といっても彼自身、前妻の南果穂との離婚原因は自分の不倫であったというから、因果はめぐるものである。

 そんな逆風の中でも、中山は強気だったように思う。普通、不倫のみそぎといえば活動自粛がセオリーだ。降板、長期謹慎、人によっては引退を余儀なくされる不倫の代償。ベッキーや矢口真理、上原多香子しかり。現「報道ステーション」キャスターの徳永有美も、内村光良との不倫が明るみになった際は、当時の仕事を降板して休みに入っている。

 しかし中山は違った。美容雑誌の表紙を飾り、男から無条件に愛される美人の役を演じ続けている。今回のドラマ設定に至っては、娘の婚約者と恋に落ちる人妻役だ。つまり劇中でも「子どもを捨てて男に走る」女の役なのである。不倫イメージのみそぎとしては、相当なチャレンジではなかろうか。

シンデレラ症候群から目が覚める日は来るか

 中1でスカウトされ芸能界入り。歌手・女優としてヒットを飛ばし続けた中山にとっては、ちやほやされ続けることが当たり前なのかもしれない。自分に何が起ころうとも、表紙や主演は当たり前。「WAKU・WAKUさせてよ」、と歌い出してもおかしくない。

 そしてプライベートでも同じように、自分を迎えに来てくれる王子様を待ち続けるタイプなのではないか。作家に音楽家と、アーティスト気質でちょっとナルシストな男に弱いのも、才能ある恵まれた男が会いに来てくれる、というシチュエーションが好きなのだろう。

 前夫の辻は初めて会った時に「やっと会えたね」と言ったという。シンデレラのガラスの靴を持って現れる王子様さながら。中山が運命を感じたとしても無理はない。一方、離婚の原因となった恋人も、長年患っていた病が限界に達していた時に優しくしてくれたから、と語っている。出会いにクライマックスが来るタイプの恋愛を繰り返しているのだ。

 ちなみに「黄昏流星群」も同じである。毎日を淡々と暮らし、大きな感情の起伏もないまま美貌だけ持て余す人妻。そこに突如現れた娘の彼氏は、イケメンエリート弁護士。何かと二人きりになるシチュエーションが発生し、「運命だ」と思わぬわけがない。終始おどおどしながらも、グイグイ来る王子様にほだされた体で、結局はあれよあれよと関係を深めていく様子に、思わず中山自身を重ねて見てしまう。

 現在はどうか知らないが、アイドル時代は工藤静香と親友と公言していた中山。今では明暗がくっきり分かれてしまったが、運というより性格の違いだろう。欲しいものはしっかり戦略的に取りに行く工藤と、運命を待ち続けて疑わない中山。シンデレラは実は、ガラスの靴をわざと置き忘れてきたという説もある。他者から与えられない限り運命は訪れないと思うのではなく、自分から仕組んで運命をたぐり寄せるしたたかさの方が、現代ではめでたしめでたしの結末を招くのかもしれない。ディズニー映画も、最近は戦うお姫様の物語が増えている。さて、中山のシンデレラ気質は一体いつラストを迎えるのか。ドラマの行方とともに、勝手ながら見守り続けたい。

(冨士海ネコ)

2018年11月15日掲載