戸田恵梨香 「大恋愛」に見る“かわいい”だけじゃない万能調味料な女優力

芸能2018年11月9日掲載

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 ムロツヨシ……結婚してくれ。見終わるたびに思わずつぶやいてしまうTBSドラマ「大恋愛」。いつもの彼のコミカルな役柄から一転、ずっとムロの目からは光が消えている。しかしその捨てられた子犬のような不憫さが、ちょっとしたさじ加減で男の哀愁に変わって見える時があるのだ。不幸な生い立ちや病を抱えた女性との悲恋がベースにあるからこそ、無理に見せる笑顔やギャグシーンがさらに切なく見えてくる。おしるこに塩を入れると甘みが増すように。いや、コメディもシリアスも対応できるとなると、一本あれば煮物も炒め物もサラダもおいしくできるめんつゆと言うべきか。まさに万能調味料のような男、ムロツヨシおそるべし。

 一方で、主演の戸田恵梨香も実は万能調味料な女優と思うのである。「当たり役」のイメージからはみでない女優も多い中、淡々と色々なキャラクターに挑戦しているように思う。「流星の絆」「SPEC」「BOSS」「コード・ブルー」……キャラクターは違えど、様々なヒット作で見かける戸田の名前。主役だろうとそうでなかろうと、巧みに存在感を発揮しながら世界観をきちんと作り上げている。いうなれば、彼女が有名ドラマに出演しているのではなく、彼女が出演したドラマが有名になっているのかもしれない。
 
 さて今回の「大恋愛」で演じる北澤尚は、若年性アルツハイマーを抱える、優秀で裕福な産婦人科医である。同じく恵まれた医師の婚約者と別れ、大好きな小説を書いた作家と恋に落ちる。障害を乗り越えていく恋愛、というのは使い古されたテンプレートであるし、美人で優秀な女性と、人柄はいいが冴えない男性とのラブストーリーという構図も、前クールの「高嶺の花」と同じだろう。難病モノかつ格差恋愛。ある種、手垢のついた設定だ。

 にもかかわらず、大きな支持を集めているのは、主演2人の万能調味料感にあるのではないか。前に出すぎず、かといって控えめになりすぎず、全体をまとめながらもまさに「いい味」を出す絶妙な空気感。抑制のきいた2人の様子に、虜になる視聴者も多いのではないだろうか。

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