著名人がハロウィン“バカ騒ぎ”のモザイク処理に違和感を表明 テレビ局の本音は?

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結局は責任逃れ

 民放キー局の制作スタッフも「やはり人気のトップタレントだけあって、鋭い視点でテレビ局の偽善を見抜いていましたね」と苦笑する。

「モザイク処理はスタッフの間でも頭痛のタネです。一応は局に基準のようなものがあるのですが、結局のところ現場は、プロデューサーにお伺いを立てます。そのためプロデューサーによって異なる指示が出ることもあります。同じテレビ局なのにモザイクをかけたり、かけなかったりと、異なるVTRが流れてしまうんです」

 小倉智昭は少年法について言及したが、実のところ、そんなに深い話ではないという。プロデューサーはクレームや局の責任問題に発展するのを恐れているだけなのだ。

「事件取材のVTRだと、午前のワイドショーでは顔を出していた近隣住民が、午後にはモザイクがかかっているということもありますね。午前の番組を見た本人が抗議してきたなど様々な理由がありますが、それだけクレームを嫌がるわけです。モザイクをどこまで強くするのか、弱くするのかというのも、微妙な問題です。作り手の一人として、民放キー局で統一見解を作ってほしい、という気持ちになることもありますよ」(同・制作スタッフ)

 1点だけ断言できるのは、年々、モザイクをかける頻度は増しているということだ。プライバシー保護が最優先になってしまっている。

「今は街頭インタビューでさえ、承諾書や誓約書を書いてもらう時代になりました。もちろん、近年になって登場した措置です。プライバシーを守るためにモザイクをかけるということ自体は、昭和の時代から普通に行われていました。ただ今は、強めのモザイクを、どんな人にでもかけるようになってきたと思います。その象徴が、“渋ハロ”で暴れる連中にもモザイクをかけるというVTRでしょう」(同・制作スタッフ)

 インターネットの発達も無視できない。テレビ局が素顔を放送してしまうと、VTRの画像や違法アップロードの動画があっという間に拡散する。

 その結果、本人の特定が容易になる。特定されれば誹謗中傷が炎上し、個人情報が暴露される。その責任をテレビ局に求めようとする動きが出てもおかしくない。ハロウィンでバカ騒ぎに興じたグループが、「テレビ局が俺たちに無断で素顔を放送し、プライバシーを毀損した」と精神的慰謝料を求めて訴訟を起こす――。こんなリスクを想定しなければならなくなったのだ。

 小倉、坂上、薬丸の主張を、正論と受け止める方は少なくないだろう。だがテレビ局の制作現場では、彼らの正論を無視するほかないということか。

週刊新潮WEB取材班

2018年11月6日掲載

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