“アパート”オーナーも腰を抜かす「シノケン」の不可解契約

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住所と氏名だけ

 他にも、シノケンHの営業方法には不可解な点がある。例えば、提携先である西日本シティ銀行とのやり取りも、

「西日本シティ銀行の行員と会ったのは1回だけ。正確にいえば、直接は会っていません。都内のシノケンH本社まで行き、行員とやり取りしたのは“テレビ電話”。融資の審査前に源泉徴収票を提出して、他に借り入れはないかの審査を受けました。ですが、銀行通帳の現物やコピーの提出は求められなかったし、不動産所有の有無も聞かれませんでした」(先の大谷さん)

 大谷さんの年収は500万円超で、預貯金は300万円に満たない。この条件で銀行から9500万円の融資を引き出すのは至難の業だが、シノケンHの手にかかればいとも容易く銀行の審査をクリアできるのだ。

「土地と建物が自分名義になった後、西日本シティ銀行への融資申込書の控えを見返すと、自分は十数万円しか出していないはずなのに自己資金の金額が500万円になっていたのです」(同)

 シノケンHの営業マンからは、“自己資金500万円”の説明は一切なかったばかりか、

「融資に関する書類を書く時、シノケンHの営業マンは“住所と氏名だけ書いてください”と言いました。その書類はすべて自分が書いたようにも見えますが、筆跡を似せているだけで自分の字ではない。自分が書く数字の“4”と、書類に書かれている“4”とはあきらかに違います。今のところ被害はありませんが、このままシノケンを信じていいのか不安です」(同)

 この不可解な契約をシノケングループに聞くと、

「当社としては、個々のお客様との商談やお取引の中で、取引内容についてご説明し、ご理解いただいたものと認識しています」(法務室)

 また、西日本シティ銀行広報文化部は、

「個別の取引先については、コメントを差し控えさせていただきます」

 顧客に無断で書類を書き換えたのはシノケンなのか、それとも西日本シティ銀行なのか。いずれにせよ、法令順守は無視されている。

週刊新潮 2018年11月1日号掲載

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