“カネで捜査情報を漏らしてくれた”――55億円積水ハウス事件、地面師マネーに汚染された“黒い警視”の存在

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愛人からかかってきた電話

「オンナは切れることがなく、今の相手は40ちょうどで銀座の元美人ホステス。若く見えるんですけどね。成城大の法学部を卒業して、どっかの法科大学院に通っていたのかなぁ。弁護士にはならなかった。いや、なれなかったと言う人もいる。少し前に土井の事務所を捜査2課がガサしたら、婚姻届が出てきたようだからそのつもりだったんじゃないの。で、その時も事前にガサ情報を仕入れて、携帯の一部の履歴は消されていたとか」(同)

 そして、積水との契約成立後には……。

「カネはヨテ、つまり預金小切手でもらった。4月と6月ね。ヨテは一流企業みたいにちゃんとしていればすぐに換金できるけど、どこの馬の骨かわからんような奴がやろうとしても1日幾らまでって制限がある。それでもせっせと換金し続け、土井の事務所にカネを持ち込んで山分けしたんだ。内訳は小山が10億ぐらいで土井が24億ほど。土井は借金返済に回した分があるんだけど、うち2億は現愛人の実家に隠してるって話も」(同)

 実際に現地を訪ねると、応対した母親は、

「え、女性のお友達と一緒に住んでいるとは聞いていましたが。びっくりしました、もう心臓止まりそう。1週間に1度くらい連絡を取っていますが(結婚の予定については)全然(知らない)。(土井のことは)全く聞いた事もない。ここに(カネを)隠しているなんて噂も出ているんですか。ウチの主人は積水ハウスに勤めているんですよ」

 その最中に戻ってきた父親に話を向けると、

「(土井のことは)全然わからないですね」

 とし、カネを隠しているかについては笑って否定。暫くすると、愛人ご当人が記者に架電してきて、

「(16日に警察が来たかについては)わかりません。(土井とは)お付き合いはしていますが、(事件に私は)一切関係ありません」

 と、否定するのだった。

 本誌は、土井容疑者のスマホのデータを入手した。そこには問題のXはもちろん、今回の事件を手掛ける警視庁捜査2課をはじめ、11人の警察官の名が登録されていたのだ。その一つの番号にかけると、

「私は○○と申します。以前この携帯を××が使っていましたけども。私は違う者です。これは公用の携帯で引き継いで使っております。私はいま組対です。本人に伝えてみますね。××は私の“前任の前任の前任の前任”くらいです」

 それから、「××」本人から折り返しがあって、

「警視庁の××です。面識ありましたかね。誰だっけな、と思って。かつて組対3課にいて、今もいますよ。土井淑雄? え、なんでオレ知り合いなの? 土井淑雄とオレが知り合い⁉ ごめんなさい、ほんとオレ初めて聞いた! 名前も知らない。もしかしたら昔会ったことあるかもしれないけど、記憶にない。2、3年前にここに帰ってくる前に警部だった頃に会っているかもしれないけど、記憶にない」

 以前、組織犯罪対策部にいた刑事はこんな対応。

「何? 土井さん⁉ 誰、土井さんて誰? 知らないよ。間違えてない? この携帯。誰から聞いたの、土井って知らないな。積水ハウスの事件は関わりないし。昔、組対にいたけど付き合いないよ。土井なんて初めて聞いたな」

 はたして、一面識もない人間の携帯電話の番号を登録し続けるだろうか。

週刊新潮 2018年11月1日号掲載

特集「被害額55億円『積水ハウス事件』で逃亡中の『主犯』側近が激白! 『刑事はカネで捜査情報を漏らしてくれた』――『地面師マネー』に汚染された警視庁の『黒い警視』!?」より

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